
新広島駅ビル外壁に「折れ」の意匠を表現する立体アルミルーバーを施工
アトリウム天井:きらめく川面を表現する光輝合金パネルの淡い輝き
駅ビルに乗り入れる路面電車を折れルーバーが迎える
●「川」と「折り」がテーマの新広島駅ビル
2025年3月、広島駅南口に新しい広島駅ビルが誕生しました。駅ビル2階に路面電車が乗り入れる日本初の構造で、商業施設「minamoa(ミナモア)」やホテルも開業し広島の陸の玄関口として賑わいを見せています。
新駅ビルのデザインコンセプトは大きく二つ。一つは市民になじみ深い「川」で、きらめく川の流れをモチーフにした素材やデザインが採用されています。もう一つは「平和」で、平和への祈りを込める折り鶴から「折り」をテーマにした形が取り入れられています。KIKUKAWAはそんなコンセプトを表現する外装ルーバーやアトリウム天井の工事に参画しました。
●立体折り形状のアルミルーバー

▲折れルーバー拡大
駅ビル正面の外壁2か所に配置されているのが、コンセプトである「折り」を立体的に表現した10m×16mの外装ルーバー。路面電車の線路を挟んで両側にあり、まるでゲートのように電車を迎え入れます。
見附幅50㎜のアルミルーバーを、横幅1.4m、中央が400㎜前方に飛び出す山型に加工し、25㎜間隔で取り付けていくことで立体的な折り形状を表現。仕上げは外壁のトーンに合わせたフッ素樹脂中温焼付塗装で仕上げました。特に上部の折れのデザインが切り替わる箇所では、1つのルーバーの中で複数回の山谷が生じたり、ルーバーの出入りをずらすことで斜めに角度をつけたりと、一層複雑な仕様になっています。
また、ルーバーの数は2か所合わせて3000近くに及びました。それら一つ一つのルーバーの折れ角度を正確に揃えて製作・施工するのは大変難易度の高い工事でしたが、モックアップでの検証やユニット化しての取付など、工夫してやり遂げることができました。
●光輝合金パネルが輝くスパンドレル天井
コンセプトである「川」をモチーフに、「折り」が連なったようなスパンドレル状のデザイン天井が広がる中央アトリウム空間。外部から乗り入れてくる路面電車のホームにもなっており、開放的で明るい雰囲気です。
800㎡以上と大規模に採用された天井パネルは、シルバーアルマイト仕上げと光輝合金発色仕上げを交互に配置。幅90~200㎜×長さ750~3,000㎜と異なるサイズのパネルでランダムに構成しました。周囲の色を淡く映し出す光輝合金パネルは斜めに勾配をつけることで多様な反射を生み、まるでキラキラ光る川の水面のような表情を作り出しています。
●オーダー装飾建材の表現力でコンセプトを実現
数量が多く、かつ意匠的にも重要な項目をお任せいただいた本プロジェクト。オーダーメイド装飾建材ならではの表現力で、コンセプトに込められた地元愛や平和への想いを形にすることができました。
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
---|---|---|
外装ルーバー | アルミ | フッ素樹脂焼付塗装 |
アトリウム天井 | アルミ/ 光輝アルミ合金 |
シルバーアルマイト/ 光輝合金発色(化学研磨+ シルバーアルマイト) |
建物名称 | 広島駅新駅ビル |
---|---|
施主 | 西日本旅客鉄道株式会社 |
設計 | 基本設計:ジェイアール西日本コンサルタンツ・東畑建築事務所JV 実施設計・監理:大林組・広成建設JV |
施工 | 大林組・広成建設JV |
竣工 | 2025年 |
建設地 | 広島県広島市 |