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2019年9月24日

メタルワークNEWS

都営大江戸線飯田橋駅の「ウェブフレーム」

菊川では、さまざまなご要望に対して、設計から施工までワンストップソリューションにてお応えしています。この一貫体制は、3次元設計や複雑なデザイン・形状など、難易度や独自性・希少性の高い現場において、真価を発揮します。

その一例としてご紹介するのは、2000年に竣工し、2002年日本建築学会賞を受賞した都営大江戸線飯田橋駅内のエスカレーター部天井にある、緑色のパイプをネット状につなげた架構*「ウェブフレーム」。総長1,300m以上の鉄パイプが網目状に波打ちながら天井に沿って広がっている形状で、天井と照明の機能を持ち合わせています。

「ウェブフレーム」の設計図
「ウェブフレーム」の全体像

「ウェブフレーム」は、「青山製図専門学校」や「新水俣駅」などの設計、JIA新人賞など幾多の受賞で知られる渡辺誠先生の代表作の一つ。また、渡辺誠先生が提唱される「アルゴリズミック・デザイン」**を使い、実現した建築物の一つとしても広く知られています。

その意匠は、日々通る長い階段空間を単調ではなく楽しい空間にしたい、そして「できるだけ天井や壁を張らずに構造空間をそのまま見せる」という考えが基になっています。植物の蔦のように地上に向かう「ウェブフレーム」は、地上にある羽のような形をした換気塔と、その土台につながっています。

「ウェブフレーム」は、「アルゴリズミック・デザイン」により、自由性と規則性を両立したデザインとなっている
「ウェブフレーム」は、「アルゴリズミック・デザイン」により、自由性と規則性を両立したデザインとなっている

「ウェブフレーム」は、 B6階からB1階までエスカレーターの折返しを含めた、長辺約55m、短辺約15mの打ち放しコンクリートの空間を覆っています。

一部楕円体で押し上げられたような網目形状は、多角的なパイプ架構によって表現されており、その設計は時代に先駆けて、3次元CAD(CADCEUS)にて行われています。

「ウェブフレーム」を施工していく様子
「ウェブフレーム」を施工していく様子

「ウェブフレーム」の主な材料は、厚み2.3mmで直径76.3mmの鉄球と、厚み2.8mmで直径76.3mmの丸パイプ。双方、ウレタン樹脂の緑色蛍光塗装が施されています。

製作上の難所は、内蔵照明用の丸パイプの切り欠き、そして網目の接点部の製作でした。

丸パイプの切り欠きは、前後部署がチエを出すことで、問題点を抽出し解決しています。

網目の接点部は、鉄球をベースにさまざまな角度にパイプを全周溶接した納まりとなっています。 接点部だけで1000箇所にも及ぶため、3D-CADを用いた自動展開プログラムと特製の立体治具を製作し、組立職人約20人が協力して切り欠きと溶接作業に望んだそうです。

ジョイント部を吊りボルトやワイヤーで吊った納まり
接点部を吊りボルトやワイヤーで吊った納まり

同工事は、時間が限られている中で実施する必要がありましたが、菊川は、さまざまな条件を設計段階から考慮することで、高品質な施工を実現しています。例えば、各材の結合部には、ジョイントスリーブという部材をつけ、出入り(長さ)調整を現場で行えるシステムにしています。また、施工の順番にも配慮し、接点部を吊りボルトやワイヤーを使って位置出し・固定を行ってから、網目状に丸パイプをつなげていくことで、施工精度を確保しています。

「ウェブフレーム」は、各セクションで異なる多角体で構成されているため、各部署での管理力が求められました
「ウェブフレーム」は、各セクションで異なる多角体で構成されているため、各部署での管理力が求められました

このように、同プロジェクトは、おそらく世界初の試みであるプログラム設計への設計対応力、丸パイプに高精度な切り欠きや溶接を施す技術力、各材に対する全社的な管理能力、そして難易度の高い工事への施工対応力を合わせることで、実現した現場です。

菊川は、これからもさまざまな意匠実現にむけて、ワン・ストップでお応えできるよう真摯に取り組んでいきます。

渡辺誠先生のホームページは、こちら
https://makoto-architect.com/index_j.html

*架構:骨組みとなる部材を結びあわせて組み立てた構造物。

**アルゴリズミック・デザイン:特定のアルゴリズム(数式などのルール)に基づいて形態を生成することで、建築の形状や外観を設計していくデザイン手法