雲海をイメージした「薬師寺食堂」のアルミ化粧天井
光輝合金発色にて金色に輝くアルミ化粧天井
「阿弥陀三尊浄土図」へのライティングにより金色の輝きが浮き上がる
●雲海をイメージしたアルミ化粧天井
世界遺産『薬師寺』の「食堂(じきどう)復興工事」の淡く金色に輝く内部アルミ化粧天井工事にKIKUKAWAは参画しています。
伊東豊雄先生の特命を受けて携わることになった化粧天井は、雲がたなびくような雲海の広がりをイメージしたデザインになっており、中央にある6m四方の田渕俊夫氏による「阿弥陀三尊浄土図」から広がるように積層して配置。阿弥陀如来の光に包まれた極楽浄土の世界を表現し、光が淡く広がる空間を演出しています。
●光輝合金発色にて金色に輝くアルミ化粧天井
照明の柔らかい光を「阿弥陀三尊浄土図」と一体となった化粧天井に反射させることでコンセプトにかなう空間を実現しています。そのため、化粧天井は光沢度の高い光輝アルミ合金を採用しています。光輝アルミ合金は化学研磨後に陽極酸化被膜を施すことで高い光輝性が得られますが、その輝きはステンレスの鏡面と違いやさしい雰囲気になります。陽極酸化皮膜には染色ゴールドアルマイトを採用、淡い金色の輝きと光の反射が荘厳さを醸しだしています。
●一体にみえるデザインパネル
設置面積が325㎡になるアルミ化粧天井は、左右対称ではあるものの1枚も同じ形状のものはありません。しかも、円弧形状であるので板巾に制約されることになり、パネル数は300枚以上にもなります。シームレスにみせるためパネルジョイントの嵌め合わせが工夫され、まるでパズルのような組み合わせになったデザインパネルは、レーザー加工を駆使して精密に製作されています。見上げたときの開口からの見えがかりに対する工夫とともに、わずかなたわみも出さないように、パネルフレームとその補強にはノウハウがつまっています。そのため、3段に積層されたデザインパネルは、各段ごとに一体にみせることができました。
●要求に応えるため
コンセプトや要求に応えるため、設計事務所はじめ現場、設備工事業者と一つ一つ緻密に検討を重ねました。そのうえ、デザインパターンの試作、原寸にての嵌め合せの確認及びたわみ補強についての検証をタイムリーに行い、図面に反映しました。モックアップ検査時の要求や指摘にも妥協することなく、営業・設計・製造・施工と一丸となってチエを出し迅速に対応しています。モックアップを工場に設置する際は、予定の取付職人を呼び寄せ施工の練習をしてもらいました。屋根裏と化粧天井のフトコロの無さに苦労をしましたが、これらのきめ細かい対応が、要求通りの良品を製作しおさめることにつながっています。
●後世に残る建築物
奈良時代の天平2(730)年頃に建てられたとみられる薬師寺白鳳伽藍の主要堂塔のひとつである食堂(じきどう)の復興工事ということで、「後世に残る建築物なので良い製品を」とお客さまより要望され、最終的にはお褒めの言葉を頂きました。
KIKUKAWAにとって本プロジェクトへの参画は、非常に名誉なことであり、信頼をさらに得ることができるものとなっています。
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
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デザイン化粧天井 | 光輝アルミ合金 (A5110AP-H24) |
光輝合金発色 (化学研磨+染色アルマイトゴールド) |
建物名称 | 薬師寺食堂(じきどう) |
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施主 | 薬師寺 |
設計 | 復元基本設計/実施設計監修:文化財保存計画協会 内部基本設計/実施設計監修:伊東豊雄建築設計事務所 構造・設備設計/実施設計:竹中工務店 |
施工 | 竹中工務店 |
竣工 | 2017年 |
建設地 | 奈良県奈良市 |