2018年10月22日
造形で魅せる海外の内部螺旋階段工事
KIKUKAWAでは、化粧パネルに限らず、構造体や鉄骨の造形で魅せる製品や工事にも対応しています。
今回ご紹介するプロジェクトは、英国ロンドンの現場に向けて設計・製作した、内部螺旋階段工事です。建物内部の中央にある円柱型のガラス・エレベーター・シャフトを中心として1階から3階まで左周りに上がっていく螺旋階段。外周に支柱がなく、支持材も最小限となっているため、機能的で美しい空間演出に寄与しています。
現場は、2018年6月にオープンを迎えたジャパン・ハウス*の新ロンドン拠点「ジャパン・ハウス・ロンドン」。1930年代に建てられたアール・デコ様式の百貨店の外装はそのままに、ワンダーウォール(代表:片山正通氏)がインテリアデザインを手がけました。
空間づくりで大事な建物中心部に位置する螺旋階段の設計や製作には、機能性も造形の美しさも求められていました。螺旋階段の鉄骨そのものを芸術品とするために、ヨーロッパで構造デザイン設計を多く手がけるネイ&パートナーズに3D構造解析を委託し、使用する部材の選定から製作まで、細部に渡って工夫が施されています。
外周半径が3400㎜あり、全高9420㎜、階段幅が1332㎜ある螺旋階段。
なめあがるササラには、板厚40㎜の構造用圧延鋼材を使用しています。上裏(天井)は、板厚6㎜の三角形パネルを交互に組み合わせることでシンプルな曲線美を表現しています。手摺には、φ42.7㎜の丸パイプと、φ19㎜の丸棒竪子を使用しています。
手摺のシンプルな美しさの秘密の一つは、曲面でなめあがる板厚40㎜のササラに、φ19㎜の丸棒の手すり子(竪子)を差し込む納まりです。これを実現するためには、ササラに垂直に丸穴加工を施すという難易度の高い加工が必要でした。通常は溶接される箇所にこの加工を施すことで、手摺の造形美が得られます。
また、海外プロジェクトであるため、輸送や輸送計画を始めとする海外ならではの対応が必要とされました。現地の運営会社やゼネコン・施工会社と協力し、さまざまな課題を乗り越えることが出来ました。
建築物の中で、最も利用者に近く、機能性とデザイン性を求められる内装工事。菊川では、オーダー金属工事で培った対応力を活かして、海外プロジェクトの空間づくりにも寄与していきます。
*ジャパン・ハウス(Japan House):日本政府が主導するプロジェクトで、