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2018年8月28日

ニュースリリース

マグネシウムとアルミニウムの異材接合技術開発を推進

KIKUKAWAは下記内容のニュースリリースを配信しました。

PDF版はこちら
2018.08.28Kikukawa News Release(FSW of Magnesium and Aluminium)

KIKUKAWAのテクノロジー – FSW(摩擦撹拌接合/Friction Stir Welding)のページはこちら
https://www.kikukawa.com/technology/fsw-friction-stir-welding/


難燃性マグネシウムとアルミニウムの異材接合技術開発を推進

ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金採択を受けて


建築物の金属製内外装工事を手がける菊川工業株式会社(本社:東京都墨田区、代表取締役社長:宇津野嘉彦、以下菊川)は、中小企業庁が推進する「平成29年度補正 ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」の補助事業者として、全国中小企業団体中央会・千葉県地域事務局より、7月2日に採択され、8月10日に補助金交付が決定されたことをお知らせいたします。
これを受け菊川は8月より、摩擦撹拌接合(*1)技術を用いて、次世代軽金属材料である難燃性マグネシウム合金とアルミニウム合金との異材接合技術の開発を推進します。その成果をもとに、鉄道車両や自動車などの陸上輸送機向けの軽量部材新製品の、試作・生産・品質管理体制を確立します。

(*1)摩擦撹拌接合(FSW=Friction Stir welding):高速回転ツールを金属材に押し当て、発生する摩擦熱と回転力で生じる塑性流動(*1.1)で接合する固相接合(*1.2)技術。従来の溶接方法に比べ、高品質で高強度に接合することができる。
(*1.1)塑性流動:表面の形状が溶けるように流動する現象
(*1.2)固相接合:溶接のように接合部材を溶融せずに、個体のまま塑性変形させ接合する方法

菊川所有の大型摩擦撹拌接合(FSW)装置

菊川所有の大型摩擦撹拌接合(FSW)装置

■補助金概要

補助金名:平成29年度補正 ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金(*2)
補助事業期間:2018年8月~2018年12月
事業主体:中小企業庁
補助事業計画名:摩擦撹拌接合を用いた次世代軽量金属材料接合製品の試作開発と事業化
事業管理機関:全国中小企業団体中央会・千葉県地域事務局
認定支援機関:公益財団法人 千葉県産業振興センター

(*2)ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金:中小企業・小規模事業者が行う革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資などを支援する補助金。国際的な経済社会の情勢の変化に対応し、足腰の強い経済を構築するために制定された。

■補助事業申請の背景

using-non-combustible-magnesium_reason近年、環境負荷軽減の観点から鉄道・自動車などの軽量化ニーズが高まっており、この実現のためにはマグネシウム合金などの軽金属材料の適用が研究されていました。特に、発火温度の問題を解決した難燃性マグネシウム合金(*3)が開発されたことで、より期待されるものとなっています。
一方で、難燃性マグネシウム合金はコストや材料特性の都合上、単独で使用するのは難しいため、アルミニウム合金との異種金属接合技術の研究開発が急務となっています。しかし、難燃性マグネシウム合金とアルミニウム合金との異材接合は、その接合部の強度が落ちてしまうという問題がありました。
そこで菊川は、高強度の接合ができる摩擦撹拌接合技術に、強度の問題を解決できる可能性を見いだし、他社に先駆けて開発し、その技術や品質管理方法を商品化することを考えました。

(*3)難燃性マグネシウム合金:マグネシウム合金に微量のカルシウムを添加することで発火温度を従来と比較して200~300℃上昇させ、約900℃まで高めた合金。比重は1.7であり、鉄の比重7.9の約1/5、アルミニウム合金の比重2.7と比較しても軽い。

菊川工業の優位性

菊川は、2013年に摩擦撹拌接合(FSW)装置を導入して以来、銅合金やアルミニウム合金の研究開発及び実際のプロジェクトに対して実績を重ねており、2016年からはマグネシウム合金のFSW技術の開発を進めています。それらを踏まえ、難燃性マグネシウム合金の摩擦撹拌接合技術についても、基礎技術の確立と課題の明確化まで分析を行っていました。
また、他社の一般的な加工サイズが900㎜×900㎜程度のなか、菊川が保有する摩擦撹拌接合装置は、2800㎜×4000㎜まで加工ができる国内でも数台しか製造されていない大型の装置です。
これらの優位性は、初期投資を抑えて他社に先駆けて研究開発を進められ、鉄道車両などの大型製品の接合実験を想定した場合でも、技術の早期確立を図ることが可能となります。

補助事業で取り組むこと

難燃性マグネシウム合金とアルミニウム合金との異材接合技術の確立のために、以下の取り組みと、必要な測定機器などの設備導入をすすめてまいります。fsw-tool

●特殊接合ツール(高速回転ツール)設計方法の確立
●摩擦撹拌接合時の温度・荷重・形状の各種測定方法の確立
●異材接合時の品質管理方法の確立

尚、これらの取り組みで確立された技術は、従来材料における摩擦撹拌接合へ水平展開していきます。

■今後の展望と狙い

陸上輸送機の業界において、市場に出回り始めたばかりである難燃性マグネシウム合金を適用されている事例はこれまで確認されていませんが、二酸化炭素削減のための軽量化の流れのなか、新たに市場が生まれると予測できます。
そこで、難燃性マグネシウム合金とアルミニウム合金の接合技術を早期に確立し、溶接学会にて報告を行い、他社に先駆けてアピールしていきます。また、確立した技術の試作品やデータを用いて、各種陸上輸送機メーカーに対して販路開拓を行うことで、車両部材などの試作や加工サービスの販売を目指します。
このことにより、菊川が建築事業以外の柱の1つとして推進している金属加工受託事業の強化に繋げることを狙いとしています。

■本件に関するお問い合わせ

菊川工業株式会社 広報室Webチーム
TEL:047-492-0144
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