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KIKUKAWAのテクノロジー

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FSW (摩擦攪拌接合 / Friction Stir Welding)

FSW(摩擦撹拌接合)加工の様子

FSW(摩擦攪拌接合)とは、摩擦熱と回転力で金属材を接合する技術で、従来の溶接方法に比べ、高品質で高強度で接合します。1パスで板厚は、アルミ10.0㎜、銅合金6.0㎜、マグネシウム10.0㎜まで、幅は2800㎜、長さは4000㎜までの加工に対応します。また、治具を工夫することで、長手方向へのサイズはさらに伸ばすことができ、例えば3枚の板をつないで長尺板を製作することも可能です。市場にない広幅・長尺サイズの板材や製品の製作、押出材・曲線をはじめとした平面加工を、従来工法に比べて少ないひずみで、かつ高強度の接合で対応します。さらにKIKUKAWAでは、異種金属接合や銅合金接合技術の研究がすすめられており、溶接の可能性を広げています。

「FSW(摩擦攪拌接合)」のパンフレットをご覧になるには、こちら

◆建築業界だけでなく、他業種からの加工や実験のご相談も承っております。詳しくはこちら

主な特長・最新設備にての近代溶接技術
・低ひずみで高強度の板材接合
・少量多品種製作対応
・市場にない長尺・広幅の板材や製品製作
機械・設備摩擦攪拌接合装置・FSW装置
対応可能素材・アルミ 1.5~10.0㎜
・銅合金 1.5~6.0㎜
・マグネシウム 1.5~10.0㎜
*1パスの場合の数値です。
種類・金属板材の低歪み溶接、接合
・形材接合
・大板(長尺、巾広製品)製作
・試作品や実験などの小量対応
・平面曲線接合
対応サイズW2800xL4000
*上記を超える寸法は要相談

FSWにて銅合金板を3枚つないだ状態

■FSW(摩擦攪拌接合)とは

FSWとは、Friction Stir Weldingの略称で、高速回転ツールを金属材に押し当て、発生する摩擦熱や回転力で生じる塑性流動(*1)で接合を行う技術です。英国で開発され、1990年代に入ってから特許出願されたこの近代溶接技術は、適用材や工具の研究を通じて、今なお様々な事例が報告されています。

(*1)塑性流動=表面の形状が溶けるように流動する現象

■FSW(摩擦攪拌接合)技術と従来溶接法との比較

従来の溶接工法に比べ、FSW技術を適用する利点は主に4つあり、とくに薄板平面接合に優位性を持ちます。

1.接合強度の高さ

鋳造組織(*2)が形成されるアーク溶接などの溶融溶接(*3)とは異なり、塑性流動で接合を行うFSWは、極めて微細な結晶粒(*4)で接合部を構成。ピンホールといった溶接欠陥を低減し、接合部の強度低下を小さくします。そのため、割れの発生のない剛性がある大板・長尺板の製作だけでなく、平面がある押出材の形状拡大や長尺化にも対応が可能です。

(*2)鋳造組織=凝固組織のこと。液体金属からの凝固過程で様々な組織が形成される

(*3)溶融溶接=溶接部分を溶融(液体)に近い状態に加熱し、接合する方法

(*4)組織が微細で均一なほど、強度やじん性(伸びや衝撃値など)は高い値を示す

2.接合品質の高さ

・ひずみや変形が少ない接合

特に薄板化粧板の加工時においてFSWは、従来工法の溶融溶接と比較して、ひずみや変形が少ない接合ができます。熱による塑性変化がすくないためであり、溶接変形をTIG溶接の数分の1にとどめることができ(当社調べ)、長距離の平面接合に向いています。

・溶接による変色やビートがなし

TIGはもちろん最新溶接の一つであるレーザー溶接と比較してもFSWは、溶接ヤケによる変色がおこらず、ビードも残りません。この溶接部が目立たない優位性は仕上げや組み立て作業をはじめとする後加工の品質向上に繋がります。例えば銅合金の場合、硫化イブシ仕上げを施せば、溶接跡は分からなくなります。

3.省エネ性

FSWはアーク溶接やレーザー溶接と比べ、環境にやさしいエコな接合方法です。まず、シールドガスが不要で、スパッタや有害物質である「ヒューム(金属粉塵)」が発生しません。材料以外の素材を用いないため、溶接材(フィラー)の節減など環境保全活動に寄与します。

4.搭載機能の優位性

FSWはNC対応装置のため、接合に適した微細な調整をスムーズに行うことができ、接合品質の確保につながります。また、3DCADデータに対応できるため、直線だけではなく曲線の接合にも対応できます。

■FSW(摩擦攪拌接合)の活用例

高強度・低ひずみ・変色がないことで、具体的には下記のような活用ができます。

①広幅・長尺の板材(製造不可および流通していないサイズ)の製作例

・1200×3000の板を長手方向に2枚接合し、2400×3000の板を製作

・1200×3000の板を幅方向に3枚接合し、1200×9000の板を製作

材の接合例

・50x150x4000の角パイプを長手方向に2本接合し、50x300x4000の角パイプを製作

・50x150x4000の角パイプを幅方向に2本接合し、50x150x8000の角パイプを製作

③希少材のロス率低減の例

・W300とW200の端材をつなぎ、W500の板を製作

上記例のようなFSW接合とKIKUKAWAの他の金属加工技術を合わせることで、パネルや見切りの大型化による目地の少ない意匠の実現など、加工の可能性はさらに広がります。また、少量でも対応可能なため、試作やテスト、最新設備ならではの実験などにも活用できます。

■FSW(摩擦攪拌接合)の導入背景

3DCADや製作技術の発展に伴い、近代建築のデザインが複雑化・多様化・大型化しています。KIKUKAWAは、オーダーメイド金属建材メーカーという特性から、「目地が少ない」意匠や、市場板材規格サイズ以上の広幅・長尺パネル、低ひずみの溶接製品といったお問い合わせに対応しています。そのような変化するニーズに品質を確保しながら対応するために、KIKUKAWAではFSW装置を導入しました。

■お問い合わせください

次世代の技術として注目を集めるFSWですが、KIKUKAWAでは他の加工と組み合わせや、研究を重ねることで、さらなる技術開発を進めています。また、接合後の曲げ加工やパンチングなど、従来溶接工法では難しかった製品製作も対応します。加工のみの受注も承っていますので、サンプルや製作可否も含めて、お気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら


FSWにて銅合金板を3枚つないだ状態


FSWによる曲線接合試験を行った板材(W200×H1000)


押出材の平面接合サンプル


異種金属材の接合サンプル

「FSW (摩擦攪拌接合 / Friction Stir Welding)」が使用されている施工事例