2017年1月5日
奉納楯の製作
毎年KIKUKAWAでは、新年への抱負と安全や繁盛の祈願を込めて、5角形の奉納楯を製作しています。盾には、剣・鎌・鍵により「水」の一文字が表わされており、「剣」は魔を払い、「鎌」は収穫、「鍵」は商売繁盛を意味しています。
この奉納楯は、その昔、鍛冶屋の火難除けとして製作されていた「奉納楯」が由来です。仕事始めに、「水」の文字を模った盾を奉納することで、仕事場を清め、金属や鞴(ふいご)を扱う職人の毎日の安全を祈っていました。
近代的な設備や技術を駆使する時代になった今でも、手業を尊ぶKIKUKAWAでは、この伝統を大切にしています。技術伝承や技術向上を祈願して、若手やベトナム研修生が中心となり、盾の製作に取り組みます。さらに、当社の起業精神、心意気を形に残すためにも、その年に多く使用した素材、あるいは話題となった金属や仕上げを選んで製作しています。
本年度は、3種類の盾を製作しました。
- – 丹銅の硫化イブシに、鏡面仕上げが施されたステンレスの水の文字。
- – 丹銅の硫化イブシに、鏡面にシルキーブラスト仕上げが施されたステンレスの水の文字。
- – アルミ光輝材のアルマイト仕上げに、ステンレスのパーマとヘアーライン仕上げが施された水の文字。
二つの盾に使用されている丹銅の硫化イブシは最近需要が高まっており、京都御所西にオープンした京町屋ホテル 四季十楽を始めとした、さまざまな物件で使用されています。
アルミ光輝材は、一見ステンレスのような光沢感をもった材質です。東京都墨田区に開館したすみだ北斎美術館で初めて大々的に使用され、話題の事例となっています。
KIKUKAWAにご来場の際は、ぜひ、工場内の壁に飾られている盾を探してみてください。