ねじれた柱パネルとそれを繋ぐ横桟パネルで構成されたステンレスカーテンウォール
光の反射率が高いパールバイブレーションが施されている
ステンレス製の1FのELVエントランス三方枠とねじれたサインパネル
●異彩を放つステンレスカーテンウォール
個性的な建物が軒を連ねる銀座マロニエ通りでも、一際異彩を放つ外観を持つビルの、ステンレスカーテンウォール工事にKIKUKAWAは参画しています。
意匠決定の過程で、実物モックアップをキクカワテクノプラザの敷地に設置し、納まりとデザインを入念に検証。クライアントが要求する最先端の建築デザインを実現するため、今まで培ってきたKIKUKAWAのステンレス工事のノウハウと三次元加工技術を発揮したプロジェクトです。
●表情を変化させるパールバイブレーション
仕上げに関しても、いくつものサンプルを作成するなか、最終的にはパールバイブレーションが採用されました。
光の反射率が高いパールバイブレーションは、時間によって変化する空や街の光を細やかに反射することで表情を変化させ、同時に見上げる人々の視点や位置によっても表情を変化させます。
そのステンレスの輝きを保つため、加工・仕上げにより損なわれたステンレスの本来の性能を修復する不動態皮膜処理を施しました。
●1枚1枚異なる三次元加工パネルの集合体
西面ファサードのステンレスカーテンウォールは、螺旋状に回転しながら立ち上がってゆく、ねじれた柱パネルと、それを繋ぐ横桟パネルで構成。柱パネルは、基準サイズ:4.0㎜×W1000×H4200のパネルを各列、14枚積み重ねています。
列ごとにツイスト状の角度と曲面が異なるファサードは、同一形状のものがなく、総数70枚中、62種類のパネルを製作。各ステンレスパネルは、左右両サイドで、曲線も出入り方向も違う三次元曲面の形状です。
専用に考案した組立架台に合わせて、三次元加工した部材を設置・溶接・組込などをして完成品へ仕上げていきますが、検査も含めた組立工程は50以上にも及びました。
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●サイン看板も三次元加工
1FのELVエントランスとなる4段の三方枠は、板厚1.5㎜のステンレス板に波型エッチングを採用。曲面部と鋭角に角出し加工されたエッジを伴った枠は、照明ボックスを組み合わせており、複雑な形状をしています。
ELVエントランスのセンターには、ステンレスカーテンウォール同様のねじれた、三次元R付のサイン看板を備えています。板厚3.0㎜のパールバイブレーションのステンレス板に文字を切り抜き、その後三次元加工。側板・裏板もデザインに合わせるため、高い技術が必要とされました。
これらコンセプトに合ったエントランスの演出は、照明が入ると、より一層高級感が引き立ちます。
●三次元カーテンウォールを出戻り・再加工なしで
三次元ステンレスカーテンウォールを要求通りに製作するため、工場加工図に初めて、3次元CADを導入。3次元データに基づき、ステンレス板のレーザーカットやパネル下地などの各部材や部品の機械加工を高精度におこなっています。
補修のきかないパールバイブレーション仕上げという条件も加わり、細心の注意と高い技術が必要でしたが、ノウハウと最新技術を融合し、各部門の創意工夫で課題をクリア。三次元で複雑なカーテンウォールに関わらず、出戻り・再加工なしで良品を納めることができました。
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
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西面ステンレスカーテンウォール | SUS316 | パールバイブレーション 不動態皮膜処理 三次元加工 |
ELVエントランス三方枠+サイン | SUS316 | 三方枠:波型エッチング サイン:パールバイブレーション ツイスト加工 |
建物名称 | V88ビルディング(旧デビアス銀座ビルディング) |
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施主 | ヴェロックス特定目的会社 |
設計 | 基本設計:光井純&アソシエーツ建築設計事務所 株式会社 実施設計:大成建設 株式会社 |
施工 | 大成建設 株式会社 西面CW工事:ガートナー ジャパン 株式会社 |
竣工 | 2007年 |
建設地 | 東京都中央区 |