KIKUKAWAの三次元加工技術(三次元曲面加工技術)は、創業以来の経験と職人技を長年受け継ぐことで、ノウハウとして蓄積。近年は、3Dデータを活用したレーザー溶接・切断やロボット加工といった先端技術や、インクリメンタルフォーミングなどの先端加工を導入・研究し、融合させて製作しています。
その上、3D-CADの対応力・実践力を含めた設計技術から施工技術までの総合力を動員し、様々な三次元形状の要望に対して、品質を確保した技術提案を行い対応します。
主な特長 | ・職人技と先端技術の融合 ・3Dデータ対応 ・少量多品種生産可能 |
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機械・設備 | 3Dデータ対応設備 ・インクリメンタルフォーミング装置 ・3D切削加工装置 ・マルチモード・ファイバーレーザー溶接装置 ・シングルモード・ファイバーレーザー切断装置 |
対応可能素材 | アルミ・ステンレス・鉄・銅合金など、薄板板金加工製品全般 |
対応サイズ | 材質・形状などにより、加工方法が異なります。 都度、ご相談ください。 |
■金属工事における三次元加工技術の役割
三次元と一口に言っても、その形状は様々です。球体や捻りのような平面的ではなく三次元的なR(曲線や曲面)を持ったものを特に指すことが多いものの、三次元加工技術を必要とする形状はそれだけではありません。例えば、Rのスロープや階段のように、曲線が斜めに上がる納まりのササラ・巾木や手摺・笠木。螺旋階段は、これらの中で最も高度な技術を要します。また、楕円を半分に切ったような形状の水平ボーダーを曲線の外周に合わせて納めるといった例でも三次元加工技術を必要とします。
これらの形状は、建材の中で最も自由な加工ができる金属に依存されることが多く、外装や内装の意匠やモニュメントなどに採用されると、象徴的・印象的なものになります。3D-CADの普及で自由曲線を多用したデザインの需要が高まっていることからも、金属工事における三次元加工技術の役割・使命は大きいといえます。
■職人技による三次元加工技術
昔ながらの金物板金の伝統技は、ハンマーでたたく、熱を加える、つなげて仕上げるなどがあります。KIKUKAWAの三次元加工技術のうち、職人技としてのノウハウは、これら伝統技を基礎としつつも、試行錯誤と経験を積み重ねることで独自に発展してきました。その中で培われ蓄積されたデータに基づき、プロジェクトに合った工法や工具・治具の選択、創意工夫と高度な溶接や仕上げ技術などを駆使することで、製品を作り上げます。
中京大学名古屋キャンパスの「翼竜のたまご」は、職人技と溶接技術を組み合わせた三次元加工の代表例といえ、パーツに分かれた三次元加工品を組み合わせて、流麗な卵形状を演出しました。
プロダクト施工事例- 中京大学 名古屋キャンパス新1号館のページはこちら
■3D-CADを駆使した三次元設計技術
KIKUKAWAは、様々なプロジェクトを通じて三次元設計技術を磨き、ノウハウとして受け継いできました。1990年初頭からは3D-CADを先駆的に導入し、多面体の組合せで球体を表現した「フジテレビ本社ビル」の展望台外装から始まり、多種多様な形状を三次元モデリングすることで検討や部材展開をしています。
現在では、BIM(*1)の活用にも積極的に取り組み、3D-CADを扱うことのできる設計要員を増やしています。全て3D-CADにて作図を行い、クライアントとのやり取りも3Dデータで行った「ブルームバーグ新欧州本社屋」のような例も出てきています。
(*1)BIM=Building Information-Modeling:リアルタイムの3Dソフトウェアを使用して、建築設計及び建設の生産性向上を目指すシステム。オーナー、設計者、ゼネコン、専門工事業者などがデータを共有、直接データを変更しての情報提供などができる。
プロダクト施工事例- フジテレビ本社(FCG)ビルのページはこちら
プロダクト施工事例- Bloomberg’s European headquarters(ブルームバーグ新欧州本社屋)のページはこちら
■最新の三次元加工設備・技術
KIKUKAWAは下記の最新設備や最新技術を保有しています。これらが、長年培われた職人の伝統技術と融合することで、三次元加工技術の効率化、品質向上、より高度な加工を可能とし、様々な三次元製品に対応します。
●インクリメンタルフォーミング
薄板金属に成形工具を逐次押しつけることで、目的の形状を得ることのできるダイレス(金型不要)塑性加工技術です。絞り加工では困難な、形状や大きさにも対応することができます。
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●3Dマシニング加工法
3Dデータに基づきX軸・Y軸・Z軸に動くヘッドにより、三次元切削に対応。曲面に切削することも可能です。例えば、無垢材を切削することで、Rを伴ったコーナー材を切削することもできます。
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●マルチモード・ファイバーレーザー溶接装置
ひずみの少ない高品質な溶接を、三次元曲線にも効率的に行うことができます。
ブルームバーグ新欧州本社屋の螺旋階段の笠木は、こちらの設備で溶接しています。
KIKUKAWAのテクノロジー- ファイバーレーザー溶接のページ
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●シングルモード・ファイバーレーザー切断装置
三次元形状のレーザー切断にも対応しています。曲面や3軸方向の切断を、データに基づき切断するので、精度・効率とも優れています。
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●テンション曲げ工法
複雑な断面形状においてもR加工できる工法で、溶接工程を削減することができます。曲面部分のある断面を違う軸にRをかける三次元加工においても、有効な工法です。
●ツイスト加工
両端から別方向に回転を加えた捻りのある状態をデザインとして表現する加工技術です。1枚の部材で製作する場合、パネルを繋いで製作する場合と、捻りの加わった三次元的な曲面を流麗に表現するには様々な課題があります。ツイスト加工は、それらを解決し1つの加工技術として確立したものです。
■三次元加工技術の研究
3D-CADの普及による三次元的なデザインの増加と、BIM導入の流れによる図面の3D化により、三次元加工の効率化とコストダウンのニーズが、今後、高まることが予想できます。
このような中、KIKUKAWAでは、3Dデータを直接システムと連携することで自動化する三次元加工成形技術の研究を現在行っています。
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■三次元加工におけるKIKUKAWAの総合力
最低ロットを問わなければ、キャスト(鋳物)や成形プレス加工が、三次元形状の製品を製作するには適していますが、実際は量がまとまることは少なく、形状が全く同じになることも滅多にありません。しかも、加工サイズや形状に制約がかかるといったこともあります。
KIKUKAWAの三次元加工技術は、少量(1品から)多品種に対応。加工サイズや形状も、コストの範囲内で可能な限りクライアントの要望に応えます。形状を実現するだけでなく、全体的にも滑らかなフォルムを実現するため、パネルの連続性や目地の通りなど細部も含め、包括的に管理します。
例えば、「MIHO美学院 MIHOチャペル」においては、1枚18.5mにもなるパネルに捻りを加える三次元加工(ツイスト加工)を施していますが、51枚のパネル全てが異なる形状となっています。
プロダクト施工事例- MIHO美学院 MIHOチャペルのページはこちら
■お問い合わせください
KIKUKAWAは建築板金における三次元加工をリードし、より難易度の高い三次元デザインや品質を求められても対応できるように、技術開発を続けています。顧客の相談や要望に対しても「Never Say No」の精神のもと真摯に取り組んでまいります。
三次元のデザインや加工を、ご検討・ご採用の際には、ぜひご相談ください。