
大阪・関西万博に設置された、スチール製ボロノイパネルのバス停留所
太陽の光を反射して結晶模様が輝く、りん酸亜鉛処理仕上げ(淡色)のスチールパネルとフレーム
夜のライトアップ:パネルは両面意匠扱いのため、内部の仕上がりや安全性にも配慮
●スチールパネルで構成するタマゴ型の万博バス停
2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)では、来場者の移動手段として会場内をEVバスが走行しています。バス停も未来社会をイメージしてデザインされており、そのうちの一つ、東ゲート北停留所「Shellver(シェルバー)」の建設プロジェクトに参画しました。
全長20m×高さ7.7mのバス停は、ボロノイ構造*の3つのタマゴ型を重ね合わせた特徴的な形状。溶融亜鉛めっき+りん酸亜鉛処理仕上げのスチール製です。異なる大きさのタマゴで「可能性の広がり」と「多様性」を、光沢感のあるスチールパネルで「未来社会へのかがやき」を表現しています。
*ボロノイ構造:平面もしくは空間上にいくつか基準となる点を配置し、どの基準点に最も近いかによってその平面や空間を分割した幾何学的な構造のこと。
●3Dデータ活用で要求品質と工期に対応
タマゴ型は、骨組みとなる三次元形状の鉄骨と下地に五~六角形のボロノイパネルを多角的に取り付けて形成。曲げパネル・シール目地の小タマゴ、その上に重なるカットパネルの大タマゴ、丸パイプでつくるボロノイフレームと、大きく3つの項目があり、それぞれの機能や意匠に合わせた納まりを考案しています。
立体形状かつ短納期での製作に対応するため、本プロジェクトでは3Dデータをフル活用。2D図面の作成は必要最低限にとどめ、基本は3Dデータを用いて効率的に製作から出荷までのプロセスを進めました。多角のパネル構成では、パネル同士の角度をいかに合わせられるかが重要となります。通常は専用の架台を用意して精度を担保するところを、今回は加工段階で3Dデータを忠実に再現することで精度を高めており、製作期間やコストの抑制につながっています。さらに施工時には、三次元での位置出しが可能な測量機器を用いて取付を行いました。
期間限定ということで斬新なデザインや工法が可能な万博の建築物ですが、多くの人々が訪れる以上、強度や安全面を確保したものにしたいとのご要望がありました。そこで、しっかりと強度計算を行った上での納まり検討はもちろん、尖った金属先端に人が触れないように工夫するなど、細部まで丁寧に対応しています。
●未来社会を形にするメタル装飾建材
特殊形状の金属建築で”未来の可能性”を表現した本プロジェクト。これまで当社が経験した三次元ファサードや多面体パネルの事例を土台に、より良い製作方法を探求して完成させました。各業界の最先端技術が集結する万博という場で、培ってきた技術力を発揮することができ当社としても光栄でしたし、お客様からは「非常に美しいりん酸パネル」とお褒めの言葉をいただいています。
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
---|---|---|
外装パネル | スチール | りん酸亜鉛処理 |
建物名称 | 大阪・関西万博 東ゲート北バス停留所 |
---|---|
施主 | 関西電力株式会社 |
設計 | 大和ハウス工業株式会社 |
施工 | 大和ハウス工業株式会社 |
竣工 | 2025年 |
建設地 | 大阪府大阪市 |