丸ノ内線銀座駅改札口:改札空間の形に合わせた三角形のアルミ天井パネルを製作
日比谷線銀座駅改札外通路:二次電解着色(シルバー)+PHL(バイブレーション)仕上げの天井パネルで明るい空間に。
銀座線銀座駅改札前広間:放射状に配置された天井パネル。天井高の切り替わりにも丁寧に対応。
●「二次電解着色+バイブレーション」仕上げの天井パネル
路線コンセプト「伝統×先端の融合」のもと、銀座線のリニューアル工事を進める東京メトロ。そのメイン駅の一つ、銀座線・丸ノ内線・日比谷線の3線が乗り入れる銀座駅の改修工事に、KIKUKAWAは参画しました。
銀座駅のデザインコンセプトは「『憧れの街』~人と街をつなぐ光のゲートアベニュー~」。銀座に漂う「上品さ、優雅さ、高級感」を感じられるように、明るさや洗練さを併せ持った空間を演出しています。
KIKUKAWAは、二次電解着色(シルバー)+PHL(バイブレーション)仕上げのアルミ天井パネルにて、デザインコンセプトの実現に貢献。光を柔らかく反射させ、明るく、かつシックで落ち着いた空間をつくっています。
KIKUKAWAのテクノロジー – 陽極酸化皮膜(アルマイト)処理の金属建材
●大量かつ役物ばかりのアルミカットパネル
銀座駅3線の改札外通路の天井パネルを、板厚3㎜のアルミカットパネルにて製作。総面積は6500㎡以上にも及びました。ここまで大量のアルミバイブレーション仕上げを使うのは、KIKUKAWAにとっても初めての挑戦でした。
天井パネルの形状や配置は、各路線の改札空間の形に合わせ、丸ノ内線は三角形、日比谷線は四角形、銀座線は放射状にパネルを配置。数量が膨大で、しかもほぼ全てのパネルが役物だったため、品質を維持しつつも、いかに製作時間を短縮できるかが大きな課題でした。
そこで、設計部門と製造部門とが互いにチエを出し合って協議。市場に流通の少ない広幅の材料を調達して溶接箇所を減らす、プログラミングされた機械でスタッド位置をマーキングする、フレーム穴の形状を工夫するなど、製作方法の検討を重ねました。また、各所に設置された点検口パネルは、今回初めてフレームレスの納まりを考案し、部材を少なくする工夫もしています。
●目線の低い天井ならではの工夫
天井高が低く、通行人の目線と天井が近い地下鉄の構内。そのため、「ビスが目立たないすっきりとした納まりにしたい」とご要望がありました。そこで、天井パネルは引っ掛け式の納まりを採用。本プロジェクトのために、天井パネルの引っ掛けフレームに使うアルミ押出型材を新たに特注で製作しています。
照明ラインを含む天井スリットパネルは場所により幅寸法が異なりますが、部材を統一し現場での調整を可能にしました。スリットパネルは1.6㎜厚のスチールで製作し、ホワイトのアクリル樹脂焼付塗装(艶消し)を施しています。
●駅改修ならではの課題をクリアする施工技術
夜間工事がメインとなる駅の改修工事。「短い時間で作業するため、効率よく納まるようにしてほしい」とのご要望を受け、全体的に施工性優先の納まりとしました。
パネル下地を工場でセットする、目印となる丸穴を設けるなどの工夫で、天井パネルやスリットパネルの位置だしが容易に行える仕組みを確立した他、工場にてモックアップ吊りこみを2度にわたって実施。製作方法や取付手順をしっかりと確認し、設計部門と施工部門ですり合わせを行っています。
また、天井自体に勾配があり、かつ階段やスロープ、梁・ダクト等で天井高の切り替わりが非常に多く、複雑な構造の地下鉄構内。そのため、取り合いとの調整は大変な作業でした。天井裏の空間にも余裕が少なく、配線や配管が通っているあたりは特に苦労して下地を組みました。階段エリアなどの勾配が複雑な箇所については3Dイメージを作成し、ゼネコンや取付職人と共有することで取付をスムーズにしています。
●製作・施工の効率を高める社内コミュニケーション
数量・種類ともに非常に多く、夜間工事や取り合いの多さなど駅改修特有の難点もあった本プロジェクト。担当者同士で情報共有を徹底する、より良い方法がないか部門間で打合せを重ねるなど、社内を横断する活発なコミュニケーションによって、製作や施工の効率を高めることができました。初めて挑戦した事柄も多く、KIKUKAWAにとっても、新たなノウハウの蓄積につながるプロジェクトとなっています。
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
---|---|---|
天井パネル | アルミ | 二次電解着色+PHL |
建物名称 | 銀座駅 |
---|---|
施主 | 東京地下鉄 株式会社 |
設計 | 株式会社 日建設計 |
施工 | 大成建設 株式会社 |
建設地 | 東京都中央区 |