大阪・北新地のテナントビル外装工事に参画。昼夜で印象がガラリと変化。
山谷が連なるパンチングパネル。折り目にあたるジョイント部の製作方法を工夫。
上:稜線が美しい多面体形状のエントランスと煌びやかな照明演出。
下:壁面アート。背面の大きなアーチ型のパネルがラフトーンメタル。
●大阪の繁華街で存在感を放つ立体ファサード
数多くの飲食店が立ち並ぶ大阪市北区の繁華街に、一際目を引く斬新なデザインの9階建てテナントビル「G PLATE kitashinchi 8(ジープレート北新地8)」があります。KIKUKAWAは、1,2階エントランスの外壁パネルと、3階以上のパンチング外装パネルを施工。建物の存在感を高める立体的なファサードの実現に貢献しました。
●ライトアップが映える立体パンチングパネル
建物正面の3階から上を覆うのは、パンチングと山谷によって幾何学的なパターンを形成する立体的なアルミ外装パネル。9列×26段で合計234ユニットの四角形が並んでいます。仕上げはステンカラー色の二次電解着色。全パネル同色の仕上げですが、山谷があることによって、まるで複数色で塗り分けているかのような陰影が生まれています。夜間はカラフルな光でライトアップされ、夜の街を彩る華やかな雰囲気に。内部の明かりがパンチングパネルを透過し、昼間とは異なる透け感のある外装となります。
板厚2㎜のアルミを使用した曲げパネルで、1ユニットは約1m四方の四角形、出入りが300㎜あります。対角線で山谷を形成しており、25㎜幅の角穴パンチング3面と無地パネル1面に分かれています。原寸大の試作品の製作を通して設計・製造間で協議し、対角線のジョイント部を当初より溶接量が少なくなる納まりに変更することで、見た目の美しさも作業効率的にも改善を図りました。また、中央列のパネルは非常進入口となっており、見た目は他のパネルと遜色なく、扉仕様となるよう設計対応しています。
●大型多面体形状のアルミ外装パネル
1,2階部分のエントランス庇は、横9.8m・高さ8m・奥行2.8mと大迫力で来訪者を出迎える多面体形状の外装パネル。ホワイトパールのフッ素樹脂中温焼付塗装で仕上げました。890㎜四方の正方形を基準サイズとする、アルミ2㎜厚の曲げパネルで構成しています。
パネル表面の対角線にはミーリング加工機による深さ0.5㎜の溝加工を施し、さりげないライン模様を形成。パネル目地部に取り付いたステンレス鏡面のモールとともに、格子柄を表現しています。端部には内部に照明を備えた小さな三角形のアクリルパネルがはめ込まれており、こちらは他社工事による現場取付のため、アクリルパネルがピタリと入るように事前に実物合わせで枠の寸法を調整しています。
本プロジェクトは立体形状のため、下地構成を含めどのように実現するかが設計のポイントとなりました。3Dデータを活用し、複雑な納まりの検討や細かい形状確認を行ったほか、3Dプリンタでミニチュア模型を作成し、関係者や現場の理解を深めています。奥行がある関係で通常の足場では取付ができないパネルに関しては、細工を施した追加の足場板を用意するなど、施工面でも特殊形状に対応する工夫をおこなっています。
●鋳物風パネル「ラフトーンメタル」の壁面アート
エントランスホールの螺旋階段横、壁面アートパネルにもKIKUKAWAの製品が使われています。鋳物のような立体的なテクスチャーをアルミ板で表現した「ラフトーンメタル」です。サイズは幅約900㎜×長さ約2,500㎜のアーチ型。1.5㎜厚のアルミ板にオリジナルの凹凸模様をつけ、墨のような淡いグレー色の特殊塗装を施しました。壁面への取付や複数パネルの組み合わせといった、重量に制約のある場面でも、鋳物風の質感や重厚感を再現できる製品です。
●立体形状を実現する設計・加工技術
本プロジェクトは、設計者の高度なデザインを実現できるかどうかが鍵でしたが、KIKUKAWAの「設計イメージを形にする力」を信頼いただき、受注につながりました。三次元設計を中心に、角度のついた形状や多面体といった、立体的なパネル製作に強みをもつ当社の技術力を大いに発揮できたプロジェクトでした。部署間での連携はもちろんのこと、取り合う他工事会社とも積極的にコミュニケーションをとることで、現場でのスムーズな進行に寄与しています。お客様からは「大変良い品質のものを納めてもらえた」と高評価をいただくことができました。
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
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3階以上 外装パネル |
アルミ | 二次電解着色 パンチング |
1,2階エントランス 外装パネル |
アルミ | フッ素樹脂焼付塗装 ミーリング加工 |
壁面アートパネル | アルミ | ラフトーンメタル 特殊塗装 |
建物名称 | G PLATE kitashinchi 8 |
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施主 | 生和コーポレーション株式会社 |
設計 | design mix |
施工 | 生和コーポレーション株式会社 |
竣工 | 2023年 |
建設地 | 大阪府大阪市北区 |