「ひがしん北斎ギャラリー」をエキスパンドメタルでリニューアル
開口パターンの異なるアルミエキスパンドメタルで富士山のシルエットを表現
上:エントランス周りの開口部にも丁寧に対応
下:軽やかなエキスパンドメタルで外壁にダイナミックな富士山を描く
●エキスパンドメタルでビル外壁をリニューアル
「ひがしん」の愛称で親しまれ、東京都の東部地域を中心に金融サービスを提供する東京東信用金庫。両国本部ビルの外壁や店舗内には、地元墨田区で生まれ育った浮世絵師・葛飾北斎やその作品についてパネル展示などで紹介する「ひがしん北斎ギャラリー」を設置しています。今回、墨田区出身のデザイナー・髙橋正実氏のコンセプト・デザイン・監修により、同ギャラリーのリニューアルが行われました。KIKUKAWAは、同じく墨田区に本社を構える会社ということでお声がけいただき、エキスパンドメタルの外装工事を担当しました。
●葛飾北斎の富士を描くアルミエキスパンドメタル
「富嶽三十六景」などの代表作で知られる北斎にちなみ、既存建物の外壁にエキスパンドメタルを取り付けて富士山を表現しました。エントランスのある東面から北斎ギャラリーのある北面にかけて、裾野が大きく広がる富士山のシルエットを描いています。
板厚3㎜のアルミ製エキスパンドメタルは、開口パターンの異なるものを2種類使用し、2つの山のシルエットを描き分けています。総面積は350㎡ほどで、ホワイトの粉体塗装で仕上げました。
●現場状況を踏まえつつデザインを実現する対応力
パネルサイズはW890㎜×H2,300㎜ほどの長方形を基本としていますが、役物パネルが非常に多いのが本プロジェクトの特徴でした。エキスパンドメタルを斜めにカットして富士山のなめらかな稜線を表現したり、既存壁面に多数ある看板や展示パネル等に合わせて開口を設けたりする必要があったためです。現地調査を行い、パネルの目地割や寸法を細かく調整して対応しています。
また、既存壁面からエキスパンドメタルまでの距離が取付箇所により異なっており、施工時の位置出しに困難が予想されました。そこで、複数種類の取付金具を考案して距離に応じて使い分けることによって、現場での施工がスムーズになるように工夫しています。取付金具の角度や位置は、最適なものになるように納得がいくまで何度も試作を重ねました。
●エキスパンドメタルのR曲げ加工
リニューアルにあたって今回新しく設置されたのが、北斎のブロンズ像です。ベンチに座って北斎と一緒に記念撮影ができるコーナーとなっています。ベンチも壁面と同じくエキスパンドメタルで覆っており、角の部分は90度のR曲げを施しています。座板は2.5㎜厚のアルミパンチングパネルで製作しました。
●金属建材で地元墨田区の活性化に貢献
適度な透け感のあるエキスパンドメタルは、外壁の上にかぶせても圧迫感がなく、既存建物を生かした改修工事向きの建材製品です。外壁にエキスパンドメタルの外装をプラスすることで、建物の個性を表現してバリューアップを図る、本プロジェクトはそんなリニューアルの好事例となりました。エキスパンドメタルの製品特性をよく理解した上での製作・施工ノウハウや、現場と連携し既存躯体に合わせた製品を納める対応力など、KIKUKAWAの強みを発揮することができました。また、墨田区を創業の地とする当社としても、自社製品を通して地元の活性化に貢献ができたことは大変誇りに思います。
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
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エキスパンドメタル外装 | アルミ | エキスパンドメタル 粉体塗装 |
建物名称 | 東京東信用金庫両国本部 |
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施主 | 東京東信用金庫 |
設計 | デザイン・プロデュース・コンセプト・設計・監修:有限会社マサミデザイン 髙橋正実 設計:岡建工事株式会社 |
施工 | 岡建工事株式会社 |
竣工 | 2023年12月20日 |
建設地 | 東京都墨田区 |