奥の横浜駅舎へと続くアトリウム入口:りん酸亜鉛処理パネルの柱型がゲートをイメージしている
りん酸亜鉛処理パネルの柱型がアクセントとなっているアトリウム吹抜の様子
左上段の木天井取合はUV塗装を施したアルミ製デザインパネル
オフィス車寄せの八角形りん酸亜鉛処理柱型パネル
●空間にコントラストを演出するりん酸亜鉛処理パネル
半世紀以上にわたり親しまれてきた横浜駅の西口駅ビルの後継として、そして横浜駅周辺のまちづくり計画「エキサイトよこはま22」のリーディングプロジェクトとして位置づけられた「JR横浜タワー」。スチール製りん酸亜鉛処理パネルを始めとした様々な金属工事で、KIKUKAWAは携わりました。
みなとまち横浜を表現するため「ゲート」「帆」「船」を抽象化してデザインされた本プロジェクト。西口広場と駅舎を繋ぐ導線となるアトリウムは、舟底をイメージしたゲート状の吹抜け空間が広がっています。その空間を支える柱型は、りん酸亜鉛処理パネルで構成。舟底状の木天井とともに、明るい空間と落ち着きのある自然な風合のコントラストがコンセプトの演出に貢献しています。
●りん酸亜鉛処理仕上げの徹底した品質管理
りん酸亜鉛処理パネルの実績を評価していただき受注に至った本プロジェクト。濃淡や模様のコントロールが難しい仕上げですが、経験とノウハウに基づいた品質管理を徹底し、期待に応えることができました。
色調を決定するにあたり、承認見本を複数枚用意し、管理レンジを明確化。また、りん酸仕上工場へ複数回お客様をご案内するなど、「溶融亜鉛メッキ+りん酸亜鉛処理」仕上げについて相互に認識を共有しました。
今回採用された濃色は、色調やスパングル柄が特に安定しないため、仕上メーカーと綿密に連携。りん酸処理工程の微妙な調整を行うことで、お客様の要望と品質の安定性を両立する管理ポイントを確立し、品質を安定させました。最終的には、艶消しのアクリルシリコンクリアーにてコーティングし経年変化を防ぐとともに、濡れ色効果により濃色がより鮮やかになりました。
そのほかにも、溶融亜鉛メッキに製品の歪みや湯流れによる仕上げ品質の低下を防ぐ方策も様々実行しています。
●りん酸亜鉛処理の柱型パネル
全数KIKUKAWA製の「JR横浜タワー」におけるスチール製りん酸亜鉛処理パネルは、特に柱型パネルに多く採用。中でも、5階まで吹き抜けているアトリウムの柱型パネルは、統一感のある重厚な納まりとなっています。
2.3㎜の鉄板を45度方向に目地が通るよう精密な曲げ加工(右図参照)を施し、上下は切りっぱなしとすることが、基本的な柱型パネルのディテール。横目地は6㎜の細目地、コーナー目地は15㎜の目地に押縁を通す仕様となっています。割付は、高さ方向を1m前後で均等割りし、幅方向は分割せず1枚ものとなっています。
その他にも、アトリウムでは壁パネル、オフィスエリアの車寄せ八角形柱型や12Fエントランスなど各所でも採用され、それぞれに要求に応えた最適な納まりを提案。外部低層の柱型パネルなどは検討を繰り返すなか、承認図にての試作で向上案が確認されれば再承認を受けるなど、貪欲に品質向上に努めました。
●UV塗装によるデザインパネルの実現
アトリウム上部、舟底状の木天井の曲線取合壁パネルは、アルミ3㎜のデザインカットパネル。デザインパターンを含め、インクジェットによるUV塗装にて仕上げています。UV塗装とは、紫外線(UV)を照射することによって硬化する塗料を使った塗装法で、見た目に美しく高級感ある塗膜面を非常に優れた耐久性・衛生性で生成するなどのメリットがあります。
当初のスペックはエンボスパネルとなっていましたが技術的に難しく、それでもあきらめずに要望を実現できる技術開拓の結果、今回のUV塗装を提案し採用されました。KIKUKAWAとしても初の投入技術でしたが、性能面を担保した上で、UV業者との十分な連携により、お客様に満足いただける製品を納めることができました。
●品質・対応力などの総合的に高評価を得たプロジェクト
本プロジェクトは鉄道に関連する工事のため工期が長く、当社も2年以上に渡り関わることになりました。請負った金属工事は約50項目あり、かつアトリウム・低層棟・高層棟と異なる建物や、既存取り合い・他社取合など施工範囲が多岐に渡ったため、設計・製造・施工と工程面も含め多くの苦労がありました。
そのような中、ゼネコンと丹念に打ち合わせを重ね、QCDの面での情報を共有。社内でも部署間のコミュニケーションを密に取り、懸念事項を早期に発見し解決に努めました。その結果、後戻り作業も少なく、プロジェクト終盤では短納期対応の追加工事に積極的に対応することができました。
設計面での対応力や品質の高い納まり、りん酸処理パネルに代表される製品に対しても大変満足を頂くことができ、総合的に高い評価を得るにいたっています。
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
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アトリウム他 柱型パネル・壁パネル |
スチール | りん酸亜鉛処理+クリアー |
アトリウム デザインパネル |
アルミ | UV塗装 |
建物名称 | JR横浜タワー |
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施主 | 東日本旅客鉄道 株式会社 |
設計 | 東日本旅客鉄道 株式会社 東京工事事務所 横浜駅西口開発ビル設計共同企業体 (株式会社 JR東日本建築設計、JR東日本コンサルタンツ 株式会社) |
施工 | 株式会社 竹中工務店 |
竣工 | 2020年 |
建設地 | 神奈川県横浜市西区 |