りん酸亜鉛処理を厚板に施した重厚感のある庇・壁・柱
りん酸亜鉛処理を施した吊天井パネル
中央部吹抜け屋根及びトップライト枠はアルミパネルで製作している
●「溶融亜鉛めっき+りん酸亜鉛処理」KIKUKAWA初期の施工例
「國學院大學」渋谷キャンパス内に新設された、大学の研究活動とその成果の発信拠点と位置付けられた「学術メディアセンター」(AMC)の金属工事に、KIKUKAWAは携わりました。
「國學院大學の知が集う」図書館、博物館、国際会議場、情報センター、研究所などが入る地上6階地下2階建ての建物の内、中央の勾配屋根パネル及びトップライト枠と、B1Fラウンジ入口の庇及び天井パネルを施工。その中でも、ラウンジ入口の金属工事では、2008年時点ではまだ施工例が多くなかった「溶融亜鉛めっき+りん酸亜鉛処理」を採用しています。
●「溶融亜鉛めっき+りん酸亜鉛処理」の特性
「溶融亜鉛めっき+りん酸亜鉛処理」は、偶発的な仕上がりが魅力であり、自然な質感を求められるところに適した仕上げです。また、経年変化により徐々に濃淡が落ち着き、周辺景観と調和していくのも特徴の一つです。
本プロジェクトでは、石やコンクリート、ガラスや植栽の中に溶け込みながらも、独特な風合いを醸成。庇や壁などは、スチール製にも関わらず外部で使用していますが、溶融亜鉛めっきに担保されることで耐食性を確保しています。
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●りん酸亜鉛処理を施した庇と吊天井
りん酸亜鉛処理を施した1600㎜×4850㎜の庇は、平板(フラットバー:FB)t19㎜×W250㎜を組み合わせた見切と、3.2㎜1枚板の屋根と軒天パネルで構成。その庇に接続しているW1500㎜×H2500㎜の袖壁も、25㎜の1枚板となっています。また、幅が150㎜の十字柱は、t25㎜の平板を溶接で組み合わせて製作しました。このように、厚板を多く使ったラウンジの入口は、りん酸処理仕上げと融合することで重厚なものとなっています。
風除室の天井は、一部コンクリート打放しが覗く吊天井。コンクリート面から1900㎜下がった基準1240㎜×3800㎜の天井パネルは、目地5㎜で割付けています。3.2㎜のカットパネルの見えがかり端部はFB9×25を廻し、剛性を保つため下地組のサンドイッチパネル方式としています。
●アルミ製の屋根及びトップライト枠
「学術メディアセンター」中央部吹抜け、三角の勾配屋根及びトップライト枠は、2.5㎜のアルミ板を加工しています。基準900㎜×4830㎜のパネル仕上げは、黒系のフッ素樹脂焼付塗装。屋根端部の立ち上りは、H100㎜で四周を通しています。
約3割あるトップライトの枠は、屋根パネル接続部はパネルとの一体型、ガラス間はW140㎜×H175㎜の枠を納めています。
●「溶融亜鉛めっき+りん酸亜鉛処理」の実績がノウハウとして向上
「溶融亜鉛めっき+りん酸亜鉛処理」は、微細な材料成分の違いや板厚・形状などの影響で、濃淡や模様は結果として表れるため、仕上がりをコントロールするのは非常に困難です。「國學院大學学術メディアセンター」におけるスチール工事は、数種類の板厚の組合せにも関わらず、違和感のない製品を納めることができました。
ここで試行錯誤した経験が、以降の「りん酸亜鉛処理」を採用したプロジェクトにて、ノウハウとして活かされています。
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
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B1Fラウンジ入口 庇・天井パネル |
スチール | りん酸亜鉛処理 |
中央部屋根 パネル及びトップライト枠 |
アルミ | フッ素樹脂焼付塗装 |
建物名称 | 國學院大學学術メディアセンター |
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施主 | 学校法人 國學院大學 |
設計 | 株式会社 日建設計 |
施工 | 鹿島・大成建設工事共同企業体 |
竣工 | 2008年 |
建設地 | 東京都渋谷区 |