南面・和田倉噴水公園からの客室バルコニーの手摺・笠木やチャペルのアーチ天井の様子
1F車寄せのアルミ軒天・飾り天井とSUSシャンデリアの様子
スチールの丸パイプで組まれているチャペル・アーチ天井
●計画段階からの設計協力
皇居のほとり、内堀通り沿いにたたずむ伝統ある「パレスホテル東京」の建替工事に、KIKUKAWAは参画しています。デザインを検討する三菱地所設計より、計画段階から多くの難易度の高い金属工事の相談を頂くなか、様々な金属製品に携わることになりました。
シャンデリアを含めた車寄庇・軒天、チャペル・アーチ天井、客室バルコニーを始めとしたステンレス手摺など、機能や安全上の品質を十分に担保しながら、デザイン要求を満たした製品を納めています。
●お客様を迎える車寄せの金属製品
西面1Fのオフィス棟からホテル棟に渡る車寄せ部の金属工事は、ほぼKIKUAWAにてまとめています。庇の屋根からボーダー、それに続くR軒天、メインの天井と飾り天井、下がりルーバー及び下部幕板と天井、そしてシャンデリア。それらが一体となった落ち着きのある統一感のもと、シャンデリアや飾り天井が格調高さを表現しています。
庇ボーダーが曲線を描く部位とEXP.J部が重なり、さらにボーダーに続く軒天がR形状になっているため、加工難度と取付精度が難しい納まりとなっていますが、違和感なく精緻に納めています。
ルーバー下部の幕板ボーダーは曲げ部をシャープにみせるため、ステンレス板にて角出し加工をしたものに、アルミパネルと同色塗装するなど、細かいこだわりにも対応しています。
●高級感のあるシャンデリアと飾り天井
ホテル入口前、車寄せ天井のシャンデリアは、φ800㎜~φ1200㎜のリングを平面と高さ方向へ複層に重ねることで、全体的には約φ4000㎜×H1340㎜のものとなっています。リングは3㎜のステンレス鏡面パネルで成形。組み付け方法を考案し、レーザー溶接を駆使することで、固定方法が見えないデザイン性の高い製品となり、不動態皮膜処理を施すことで経年で輝きが失われないようにしてあります。
シャンデリア部の飾り天井はゴールド色の染色アルマイトが採用されており、間接照明からの明かりと融合し、リングの鏡面パネルに映り込むことで、高級感のある雰囲気をいっそうひきたてています。
連なる折上げ飾り天井はアンティーク調ゴールド色の特殊塗装を施しており、味わいのある色調がパネル間でも不自然とならないよう、職人技を発揮しています。
KIKUKAWAのテクノロジー – ファイバーレーザー溶接はこちら
KIKUKAWAの金属仕上ラインアップ – アルミニウム(染色アルマイト)はこちら
●凛とした美しさの中にあるあたたかなアーチ天井
和田倉噴水公園から皇居前広場を一望する5Fから7Fまで吹き抜けているチャペルのアーチ天井は、和紙を丁寧に編み込んだようにスチール丸パイプにて製作。曲線による三角型アーチ材のφ34㎜の丸パイプが中央に向けて、開口が7660㎜~6980㎜、高さが7800㎜~4700㎜と小さくなることで、全体的には瓢箪を縦半分に切断したような形状をしています。
丸パイプφ12.7㎜の横桟ツナギは、75㎜ピッチでアーチ丸パイプをジグザグに通してあります。アーチ材にビス止めで接合していますが、その納まりは見えないような工夫がなされています。
また、表面を覆う白系の仕上げは、汚染除去性・抗菌性・防かび性に優れているシリコン系の特殊塗装を施しています。
●ブランドコンセプトにあった客室バルコニー手摺
南面の客室バルコニーのステンレス製ガラス手摺は、安全品質を満たしながらスマートで細部にこだわりのある製品となっています。ガラス手摺部H=1250㎜、同じ支柱に接続する衝突防止手摺はH=1400㎜に位置し、ガラスを受ける笠木と下枠は見附を薄くし無骨にならないよう、手摺はW84㎜×H28㎜の楕円管を採用することで、開放感のあるガラス手摺となりました。
数箇所ある曲線部は、ガラス部が多面体なのに対して、手摺部及び手摺下のアルミ笠木は曲線加工をしてあり、さらにガラス部はPHL(バイブレーション)仕上げ、SUS手摺部はHL仕上げと使いわけがされています。
●コンセプトを実現するKIKUKAWAの金属工事
「パレスホテル東京」では上記以外にも、客室バルコニー以外のステンレス製ガラス手摺・メンテナンス手摺・防風スクリーンSUS枠・リン酸処理を施したスチール手摺やアルミ笠木・アルミ庇など、そして雑金物に至るまで、あらゆる金属工事に携わっています。
「ただひとつのホテル」「最上質の日本」のコンセプトのもと、特殊な形状や仕上に関しては、過去の経験とサンプル製作やモックアップなどの試作を通じて実現。それがさらにKIKUKAWAのノウハウと技術の蓄積へと繋がりました。
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
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1F車寄 金属工事 | アルミ(庇 ・天井カットパネル・ルーバー) ステンレス(シャンデリア ・ルーバー下部ボーダー) |
フッ素樹脂焼付塗装 シャンデリア:レーザー溶接 ・鏡面+不動態皮膜処理 シャンデリア部飾り天井: ゴールド染色アルマイト 飾り天井: アンティーク調ゴールド特殊塗装 |
5Fチャペル アーチ天井 | スチール | シリコン系特殊塗装 |
客室バルコニー ガラス手摺枠+笠木 |
手摺・ガラス枠:ステンレス 笠木:アルミ |
手摺:HL ガラス枠:PHL 笠木:フッ素樹脂塗装 |
建物名称 | パレスホテル東京 |
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施主 | 株式会社 パレスホテル |
設計 | 株式会社 三菱地所設計 チャペル内装設計:株式会社 乃村工藝社 |
施工 | 株式会社 大林組 |
竣工 | 2012年 |
建設地 | 東京都千代田区 |