画像1:外観(キャストグリルファサード・ブロンズルーバーパネル・三頭獅子・紋章)と尖塔金物
画像2:出入口ブロンズ框扉、エントランスブロンズ庇
画像3:ブロンズ建具及びスクリーン・ブロンズキャスト喜捨箱・須弥壇アルミキャスト壁パネル(松煙イブシ)・内部天井パネル
●金属による宗教建築の粋
1990年竣工の宗教建築物である立正佼成会の「神戸教会」に、KIKUKAWAは参画しています。立正佼成会の建築物は、横浜の「普門館」と「発祥の地記念碑」に引き続き3件目になり、のちの「京都教会」につながっています。それぞれに特徴的な宗教建築に続けて携わることができたのは、顧客の要望やこだわりを忠実に実現し、評価していただいた結果だと自負しています。
「神戸教会」においては、ブロンズ工事全般を中心に、アルミ・ステンレスとあらゆる金属を使い、種々の加工及び仕上げをしています。1つ1つの製品が粋をこらした意匠であるなか、金属工事を通じて宗教建築の可能性を広げています。
●モダンな外観
画像1の外観の金属工事は、屋根とアルミサッシを除いて、ほとんどKIKUKAWAが手掛けています。
まずは、宗教的なパターンで構成されている、本屋及び下屋のセンターに連なっているグリルファサード。アルミキャストで、ウレタン塗装を二重で施しています。
次に、それぞれの屋根の妻面のルーバーパネル。ブロンズ加工品で構成され、敢えて仕上げは施していません。自然な経年変化により、深い味わいが出ることを狙ったものです。
屋根の四隅に鎮座する三頭獅子と中央にそびえる尖塔金物もKIKUKAWAの製品です。三頭獅子はブロンズキャスト、尖塔金物はブロンズ加工品で、どちらも緑青仕上げをしてあります。
また、妻面及びグリル面の紋章は、アルミキャストで金箔を施してあります。
●ブロンズ扉による重厚なエントランス
画像2の出入口の框扉は、ブロンズキャストの貼り合わせ、三方枠はブロンズ加工品にて構成されています。淡色の硫化イブシ仕上げを施していますが、わざとムラを出すことで、キャストの造形とあいまって重厚な雰囲気を演出しています。
また、画像ではきちんと捉えていませんが、エントランスの半円の庇とそれを支える丸柱は、ブロンズパネルで構成されています。こちらも、敢えて無仕上げとなっています。
KIKUKAWAのテクノロジー – 硫化イブシ仕上げのページはこちら
●厳かなエントランスホールと法座席
画像3の上部の画像はエントランスホールと法座席を仕切るブロンズ建具及びスクリーンを、下部の画像は法座席の奥の須弥壇の壁パネルを主に施工しています。
ブロンズスクリーンの蓮の葉の文様はブロンズキャスト、スクリーン及び框扉はブロンズ加工品で構成され、硫化イブシを施してあります。また、スクリーンの前の喜捨箱(賽銭箱)もブロンズキャストにて硫化イブシ仕上げで製作されています。
須弥壇の緞帳(どんちょう)を挟むプロセニアムアーチの壁パネルは、テクスチャーのあるアルミキャストで、松煙イブシ仕上げという特殊な仕上げを施してあります。松煙は、松を不完全燃焼させてつくった煤を集めたもので、その黒は化学的につくられた黒色よりも深みと重厚感を与えることができます。その煤をキャストの凹凸を利用して塗布し、それをランダムにふき取ることにより、味わい深い墨絵のような濃淡を出しています。
また、内部の天井パネルは、アルミ押出形材でアルマイトが施してあります。
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
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外部グリルファサード | アルミキャスト | ウレタン2重塗装 |
ブロンズ建具及びスクリーン | ブロンズ ブロンズキャスト |
特殊建具 硫化イブシ |
須弥壇 壁パネル | アルミキャスト | 松煙イブシ仕上げ |
建物名称 | 立正佼成会神戸教会 |
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施主 | 立正佼成会 |
設計 | 監修:大澤 弘 実施設計:株式会社 竹中工務店 |
施工 | 株式会社 竹中工務店 |
竣工 | 1990年 |
建設地 | 兵庫県神戸市中央区 |