りん酸亜鉛処理が施された北棟ピロティの丸柱パネルと接続ブリッジのPC先端金物
りん酸亜鉛処理が施されたスチール製柱型パネル
上:接続ブリッジ下8mの角柱 下:北棟ピロティφ700㎜×高さ3mの丸柱
接続ブリッジ内部のりん酸亜鉛処理の角柱パネル:左奥の柱は1.3mを超える幅広面がある
●景観に調和する「りん酸亜鉛処理」パネル
近畿地区の公立大学で初めての薬学部として2021年4月に開設した「和歌山県立医科大学薬学部(伏虎キャンパス)」。5階建ての北棟と11階建ての南棟、それらをつなぐ接続ブリッジで構成されています。KIKUKAWAは主にスチール製りん酸亜鉛処理パネル工事に参画しました。
“和歌山城下を彩るブラック&ホワイト”が本プロジェクトのデザインコンセプト。和歌山城の景観地区に位置することを意識した黒と白の融和を落ち着いた色調や素材にて実現する1つとして、ダークグレーのりん酸亜鉛処理が採用されました。特に、りん酸亜鉛処理を施した柱型パネルは、大学という落ち着いた空間の演出にも貢献しています。
●りん酸亜鉛処理仕上げの諸課題に対するノウハウ
本プロジェクトは、KIKUKAWAの「溶融亜鉛めっき+りん酸亜鉛処理」仕上げ実績を評価していただき引合いいただきました。りん酸亜鉛処理についての問題点などお客様と相互に認識を共有し、品質が安定するレンジの範囲でご要望に沿った色味に決定。その上で、経験とノウハウに基づいた品質管理を徹底しました。
りん酸亜鉛処理はパネルが大型になるほど、濃淡や模様のコントロールが難しい仕上げ。幅1.2mを超える箇所もある基準割付高さが3mの柱型パネルがメイン工事でしたが、仕上メーカーと綿密に連携し、溶融亜鉛メッキ製品の歪み等の諸課題と共に克服しています。
●りん酸亜鉛処理の柱型パネル
「和歌山県立医科大学薬学部」では、濃色のりん酸亜鉛処理を採用しています。
北棟ピロティ、φ700㎜、高さ3mの丸柱は、2.3㎜の曲げパネル。6ヶ所とも半円パネル2枚で構成しています。接続ブリッジ下部、850㎜角、高さ8mの角柱は、高さ方向3段で構成。南棟エントランスの壁・ボーダーパネルと庇幕板パネルとも相まり、格調高い雰囲気を演出しています。
接続ブリッジ内部、3~5階の角柱は、2.3㎜のカットパネル。基準は985㎜角、高さ3mですが、1300㎜幅を超える面を持つ柱型も一部あります。
これらのように、形状や納まりが場所により異なる柱型パネル。溶融亜鉛めっきの液溜まりを作らない設計や共通部材の手配や加工の工夫、それぞれに合った揚重計画と取付手順など、QCD(品質・コスト・納期)を意識した製品を納めています。
●溶融亜鉛めっき製品を精度よく
接続ブリッジ外部、3~6階のPC先端金物も同じく濃色りん酸亜鉛処理を施したスチール2.3㎜の曲げ加工品。上部D100㎜×H200㎜×下部D300㎜、総長212mある変形コ字型をしています。溶融亜鉛めっきにより熱変形やPC精度を考慮すると、ジョイント部を揃え、通りの整ったボーダーとするのは難しいものでした。曲りを最小限に抑えるめっき工程管理を始めとした製作精度と職人の取付精度により、要求品質を満たすことができています。
●自然の風合いと均一性を両立したりん酸亜鉛処理
積み重ねてきた「溶融亜鉛めっき+りん酸亜鉛処理」の経験と本プロジェクトで新たに獲得したノウハウにより、さらに技術力を高めています。その結果、「和歌山県立医科大学薬学部」では、りん酸亜鉛処理の均一性をお客様から評価していただくことができました。
りん酸亜鉛処理は、自然の風合いの中に均一性を求められることが多い仕上げです。今後も、お客様により捉え方が異なる要求品質を達成するよう、取り組んでまいります。
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
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ピロティ 柱型(角・丸)パネル |
スチール | りん酸亜鉛処理 |
接続ブリッジ PC庇先端金物 |
スチール | りん酸亜鉛処理 |
接続ブリッジ内部 柱型(角)パネル |
スチール | りん酸亜鉛処理 |
建物名称 | 和歌山県立医科大学薬学部校舎 |
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施主 | 公立大学法人 和歌山県立医科大学 |
設計 | 設計:東畑・山口設計共同体 監理:東畑・岡本設計共同体 |
施工 | 東急・小池特定建設工事共同企業体 |
竣工 | 2020年 |
建設地 | 和歌山県和歌山市 |