三次元的な曲面で構成されたステンレスモニュメント
二相系ステンレスにパールバイブレーションを施している
緑化部の裏もステンレスで構成されている
●金属と緑のコラボレーション
東京駅八重洲口「グランルーフ」の完成に合わせて整備された「東京駅八重洲口駅前広場」の中央換気塔モニュメント工事に、KIKUKAWAは携わりました。
「緑を配した潤いのある空間を創出する」コンゼプトのもと、壁面緑化された換気塔は、重厚感とシャープさを持つ金属と、豊かで柔らかな植栽が調和するものとなっています。
●二相系ステンレスにパールバイブレーション
およそ全長17m・最大幅6.7m・高さ4.8mのシェル型換気塔パネルは、自立型の構造体パネル。材料は高強度かつ高耐食性能を有する二相系ステンレス(※1)「SUS329J3L」を採用し、構造体であること、汚れやサビの発生しやすい環境に対することを考慮しています。
板厚9㎜のステンレスは、目地なしの1枚構造体として納められ、露出部は乱反射するパールバイブレーションを施しています。
(※1)二相系ステンレス:オーステナイト系とフェライト系を二相混合したステンレス(二層鋼ではない)。SUS304と比較して、強度は約2倍、耐食性は同等以上で耐応力腐食割れ性にも優れている。
●ステンレス構造パネルを三次元にて
シェル型換気塔パネルの実現には、KIKUKAWAの3D-CAD及び三次元加工技術が不可欠です。三次元的な曲面で構成された形状を、3D-CADを用いてモデリング。厚さ9㎜のステンレス厚板を工場にて三次元成型し、工場と現場で熟練の職人の手により、溶接・仕上げを施しています。
構造体パネル(自立パネル)であること、パネル内部ベースラインの換気開口部を囲むステンレス梁鉄骨工事においては、KIKUKAWAがステンレス建築構造物製作工場(※2)として認定されていることが必須条件でした。
(※2)ステンレス建築構造物製作工場:一般社団法人「日本鋼構造協会」が定めた基準を満たした、ステンレス建築構造物の製作一式を行う工場を認定する制度。ステンレス鋼も一般の鋼材と同等に構造材として使用することができるように、1998年に建築基準法が改正されたことを受けて制度化された。
KIKUKAWAのテクノロジー – 三次元加工技術のページはこちら
●24枚の三次元パネルを溶接
割付1067㎜で縦に24分割された、1枚ごとに形状の異なる三次元パネルを溶接した、ステンレス構造体。2枚ユニットで工場溶接し、現場にて設置後、ユニットどうしを職人の手作業で溶接することで、巨大な一枚の板として自立させ、内部に下地鉄骨の無い「シェル構造」を成立させました。
重機の関係上、夜間の限られた時間内にパネルを設置するため、綿密な事前計画及び方策を考案することで、図面通りの位置や角度にて、正確に施工しています。
●周辺環境と一体となった景観の創造
換気塔としての機能やモニュメンタルなデザイン、緑化壁としての役割など、様々な特徴のある本プロジェクトは、材料選択から施工まで様々な新たな経験を積み重ね、ノウハウを蓄積するこができました。
周辺環境や地域と一体となった景観の創造や保全を実現した、土木構造物や公共的な空間作品およびそれらの実現に貢献した関係者や関係組織の顕彰する、公益社団法人「土木学会」が主催する2017年度「土木学会景観・デザイン委員会デザイン賞」に「東京駅八重洲口駅前広場」が優秀賞を受賞したことに、一部貢献できたと考えています。
土木学会:2017年度「土木学会景観・デザイン委員会デザイン賞」紹介ページへのリンクはこちら
http://design-prize.sakura.ne.jp/archives/result/year/y2017
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
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シェル構造体パネル | 二相系ステンレス (SUS329J3L) |
パールバイブレーション 三次元加工技術 |
建物名称 | 東京駅八重洲口駅前広場(中央換気塔) |
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施主 | 東日本旅客鉄道 株式会社 |
設計 | 東京駅八重洲開発設計共同企業体 (株式会社 日建設計・株式会社 ジェイアール東日本建築設計事務所) |
施工 | 東京駅八重洲開発中央部他新築工事共同企業体 (鹿島建設 株式会社・鉄建建設 株式会社) |
竣工 | 2014年 |
建設地 | 東京都千代田区 |