アトリウム外観:屋根と1Fラインのアルミパネルがすっきりとしている
アトリウム内観:細長のアルミ梁パネルが支柱と交差しながら1Fラインを周回している
大岡川に沿ったプロムナードからの外観(右:行政棟、左:議会棟):1・2F階の各所にアルミ製品を納めている
●調和した白系統のアルミパネル
関内駅前にあった市役所を横浜みなとみらい21エリアの対岸に位置する北仲通り地区に移転した新「横浜市役所」。横浜市の象徴となるシンボルタワーは、周囲の街並みと調和するように白を基調としています。白は生糸の輸出によって栄えた港の記憶の意味も込められており、KIKUKAWAは白系統のフッ素樹脂焼付塗装を施したアルミパネルにて貢献しました。
●すっきりしたラインを形成するアルミパネル
地下鉄馬車道駅と接続し、屋根付き広場として多様的な使い方が求められているアトリウム。高さ20.5m、約1200㎡の3階吹抜け空間は、その大空間をできる限りすっきりとした納まりにしたいというデザイナーからのご要望がありました。
アトリウムのアルミパネルの大部分をKIKUKAWAが担当。笠木・軒天・外壁・梁・風除室パネルなどを納めました。特に屋根部と1F部分のラインは、意匠的にもご要望に応えたものになっています。
屋根ラインは、笠木(330㎜)+幕板(725㎜)+水切(520㎜)+幕板(455㎜)+軒天(460㎜)と2段、5種類のアルミパネルで構成。基本的に2㎜の曲げ加工品ですが、軒天パネルのみ3㎜のカットパネルで納めています。
1Fラインの梁パネルは、H300㎜×D2500㎜の細長タイプ。目線の通る幕板と天井パネルはカットパネルになっています。内部・外部と接続し、各所の風除室や庇パネルと取合いながらも、きれいに納めています。
●FSW(摩擦撹拌接合)などの先端技術にて要望を実現
行政棟と議会棟とを跨ぐ低層部1・2階各所の壁や柱型も、アルミ3㎜のカットパネルにて納めました。パネル分割を極力避けるために、幅1.4mから1.8mと割付幅が比較的大きな製品となっています。
なかでも、議会棟北側1階にある幅4150㎜の壁部分をパネル2分割、1枚2mを超える割付で納めたいとのデザイナーからのご要望に対し、市場で流通していない材料をFSW技術で対応。低ひずみかつ高強度の板材接合が可能な摩擦撹拌接合にて、大板を製作しました。パネルフレームなどの補強は、設計的計算のみで判断せず、ツナギ目など現物を確認しながら万全を期しています。
また、外部プロムナード階段下部のササラパネルは三角形パネルが織りなす複雑な形状のところ、3DCADを活用した製作にて対応しました。
KIKUKAWAのテクノロジー – FSW (摩擦攪拌接合 / Friction Stir Welding)はこちら
●調整あってこその品質対応力
低層部の各所にアルミ製品を納めるのに伴い、工程調整や他材取合調整など苦労の多いプロジェクトでした。また、幅2m越えパネルなど、様々なお客様のこだわりにも対応。そこには、コストとの兼ね合いなど、ゼネコンとの十分な協議や調整が不可欠で、KIKUKAWAだけでは実現の難しいことでした。
それでも、デザイナーの希望意匠の実現や品質に対する期待にお応えでき、評価をいただくことのできたプロジェクトとなりました。
※「横浜市役所」は『新建築』2020年9月号に掲載され、KIKUKAWAはアルミパネル(フッ素焼付塗装)業者として紹介されています。
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
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アトリウム 笠木・幕板・梁パネル他 |
アルミ | フッ素樹脂焼付塗装 |
低層部 壁・柱型パネル |
アルミ | フッ素樹脂焼付塗装 FSW接合 |
建物名称 | 横浜市役所 |
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施主 | 横浜市 |
設計 | 株式会社 竹中工務店 株式会社 槇総合計画事務所 |
施工 | 竹中・西松建設共同企業体 |
竣工 | 2020年 |
建設地 | 神奈川県横浜市中区 |