
「新東京ビル」のピロティ空間にステンレス天井を施工
鏡面と、目の細かさが異なるシルキーブラスト(B-R30/B-R60)、3種のステンレス仕上げを採用
左:夜は周辺のライトアップとともに一層きらびやかな空間になる
右:柱型に埋め込まれたブロンズ装飾金物と照明カバー
●ピロティ空間にステンレス装飾天井を施工
東京・丸の内に位置する「新東京ビル」は1963年に竣工した複合ビル。「人を惹きつける新東京ビル」をコンセプトに大規模なリニューアルが行われ、そのうちの1つ、丸の内仲通りに面した1階コーナー部にピロティ空間を新設する工事に参画しました。
天井高6.5m・縦横7m四方のピロティ軒天井に、三角形を多面的に組み合わせたステンレス天井パネルを施工。複雑な反射や屈折を生み出すプリズムのような輝きは、3種の異なるステンレス仕上げを使い分けることで表現しています。特別感のある装飾建材によって、リニューアルコンセプトを形にした印象的な空間へと生まれ変わりました。
●3D-CADを積極活用した立体天井
三角錐形状のパネルユニットが幾何学的に並ぶ多面天井。1ユニットは長辺1,100~1,300㎜の三角形パネル3枚からなり、基準天井高±100㎜の凹凸を形成しています。設計段階では3D-CAD(Rhinoceros、Grasshopper)を積極的に活用しました。例えば3Dデータからのパネル展開をプログラムで自働化するなど、効率的に作業を進めています。
また下地については、三角形状に沿った納まりに対応できる専用金具を開発。3Dプリンターで試作し、機能を検証した上で採用しています。
●3種の高品質ステンレス仕上げ
ステンレスの仕上げは、鏡面1種、シルキーブラスト2種の計3種類。「仕上げの異なる金属を組み合わせて表情に深みを持たせたい」というご要望のもと、KIKUKAWAの様々なステンレス仕上げサンプルを実際に組み合わせながら、お客様と一緒に検討を重ねて決定しました。
映像が映り込む鏡面仕上げは、いかに歪みを無くせるかが美しさの鍵を握ります。歪みを抑える納まりを検討したほか、難易度の高い鋭角部の曲げ加工も技術的な工夫をおこなっています。先行試作では実際の天井高に上げての見え方の確認も行い、高品質のステンレスパネルを納めることができました。
鏡面仕上げについてはこちら
シルキーブラスト仕上げについてはこちら
●ディテールにこだわった柱型照明カバー
ピロティ周辺に6本ある柱型の装飾金物もKIKUKAWA製。スリットは槌目+ミガキ仕上げの銅板、中央の照明カバーはステンレスPHL+ブロンズ色カラークリア仕上げです。照明カバーはピロティ天井の雰囲気に合わせた多面体形状で、曲げ加工や溶接を組み合わせて製作しました。柱型の幅140㎜の隙間に埋め込む形のため、クリアランスが小さい中で他部材との取り合いを考慮しながら納まりを調整するのに苦労しましたが、ディテールにこだわって納めています。
●装飾建材で建築に新たな価値をプラス
ステンレスを美しく魅せる装飾天井を製作した本プロジェクト。3D設計技術と多彩な金属仕上げ対応というKIKUKAWAの強みを生かし、お客様からも「思い描いていた空間づくりができた」と嬉しいお言葉をいただきました。
「新東京ビル」は以前からご縁があり、実は昭和時代に内装金物工事も担当しています。時代が変わっても残り続ける歴史ある建築の一部を担えることは大変誇りに思いますし、またこうして装飾建材で価値向上のお手伝いができ、当社にとって感慨深いプロジェクトでした。
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
---|---|---|
天井パネル | ステンレス | 鏡面 シルキーブラスト |
柱型装飾金物 照明カバー |
スリット:銅 照明カバー:ステンレス |
スリット: 槌目+ミガキ+クリア塗装 照明カバー: PHL+カラークリア塗装 |
建物名称 | 新東京ビル |
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施主 | 三菱地所株式会社 |
設計 | 株式会社三菱地所設計 |
施工 | 大成建設株式会社 |
竣工 | 2024年 |
建設地 | 東京都千代田区 |