緩やかな曲線のアルミ厚板パンチングパネル
アルミ厚板パンチングパネルに三次元加工を施している
パネル裏の照明により、パンチング穴の1つ1つが強調されている
●緩やかな曲線を活かしたアルミ外装パンチングパネル
一般社団法人 全日本建設技術協会主催の伝統ある賞である「全建賞」(平成25年度)の内、建築部門で受賞した「アーツ前橋新装事業」の外装ファサード改修工事に、KIKUKAWAは携わっています。
「アーツ前橋」は、中心市街地にあった大型商業施設の撤退を受けて前橋市がコンバージョン(用途変更)により美術館として再生させ、文化振興の核としてアートと市民と街をつなげて交流する拠点と位置づけた建物です。
施設の場所の記憶を大切にするために、既存建物の緩やかな曲線状の外壁を活かしたまま、それに沿って特注のアルミ外装パンチングパネルで衣をまとうように覆うことで、新しいまちの顔づくりを行っています。
全日本建設技術協会:平成25年度 全建賞ページへのリンクはこちら
https://www.zenken.com/hypusyou/zenkensyou/h25/25_zk_midasi.html
●グラデーションパンチングパネルと三次元曲面
本プロジェクトにおいてKIKUKAWAは、基本設計段階からデザインスタディに参画し、長期に渡り検討を重ねています。
最終的には、下部から上部へ行くほどに穴の径が小さくなるグラデ-ションパンチングパネルになりましたが、そのデザインバランスを確認するために何度も試作・モックアップを行いました。
全体的なデザインにおいては、曲線状の外装ファサードを強調。上部・下部及び凸面のボーダー部をR形状にしたため、曲線の出隅・入隅は三次元曲面となっています。
●KIKUKAWAの厚板パンチングパネル
化粧パネルに剛性を持たせて裏面の補強フレームをなくすため、10㎜のアルミ厚板を採用。取付下地も極力、穴からみえない工夫をこらし、透明感のあるディティールを実現しています。
アルミパンチングパネルと謳っていますが、厚板パネルであるがゆえに機械的にパンチング加工をすることは不可能です。よって140㎜~80㎜である穴をエンドミル加工機にて、ひとつひとつを切削加工。三次元加工部を含めた曲面ファサードの開口は、連続性を美しく保つために、R加工後に穴あけ切削加工をしています。それらKIKUKAWAの「厚板パンチングパネル」技術により、開口にダレがなくシャープなエッジ感をもった、堅牢なファサードとなっています。
KIKUKAWAのテクノロジー – パンチング技術のページはこちら
●厚板の三次元パネル
厚板パネルの三次元加工は、薄板と比較して数段難しくなります。3次元モデルで形状や加工方法を事前に検証、ノウハウを駆使し熟練工の職人技を加え、また治具を工夫することで、難易度の高さを克服しています。
三次元パネルをはじめとして、デザイン通りの良品を製作、正確に取付することで、顧客の期待に応えています。
KIKUKAWAのテクノロジー – 三次元加工技術のページはこちら
●環境に配慮した高耐侯性ポリエステル粉体塗装
清潔感のある白系塗装の仕様は、当初、フッ素樹脂焼付塗装でしたが、「高耐侯性ポリエステル粉体塗装」をKIKUKAWAが提案、採用されました。高耐侯性ポリエステル粉体塗装は、性能的にはフッ素樹脂焼付塗装に準じており、しかも環境に配慮したクロムフリーの塗装処理であることから、近年建築業界で注目されている仕上です。エッジ廻りに塗料がきちんと密着するという粉体塗装の特性もあり、パンチングパネルに適した仕上ともいえます。
●昼夜の表情が異なる外装ファサード
KIKUKAWAの改修工事の技術力を、設計・加工・取付と総合的に発揮。要求されたコンセプトとデザインに忠実なパンチングパネルを納めることができました。
堅牢さと透明感のある厚板パンチングパネルは、日中においては目立ちながらも落ち着いた表情を表現。日が落ちたあとはパネル裏の照明により、丸穴の1つ1つが強調されて美しくシックに輝くことで、昼と夜の表情が違う外装ファサードとなっています。
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
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ファサード厚板パンチングパネル | 厚板アルミ(10㎜) | 高耐候性ポリエステル粉体塗装 三次元加工技術 |
建物名称 | アーツ前橋 |
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施主 | 前橋市長 |
設計 | 水谷俊博建築設計事務所 |
施工 | 佐田・鵜川・橋詰特定建設工事共同企業体 |
竣工 | 2012年 |
建設地 | 群馬県前橋市 |