
デザインパンチング加工で青海波柄を表現したアルミ製外装ファサード
曲面のアルミ外装パネルが出入りすることで【のれん】の風情を演出している
夜間のライトアップでデザインパンチングによる和のテイストを一層引き立てている
●【のれん】をイメージするアルミ外装パネル
墨田区両国駅前から延びる北斎通り沿い、約20年の歴史がある「両国湯屋 江戸遊」の増改築プロジェクトに、KIKUKAWAは外装ファサード工事で携わりました。
すみだ北斎美術館など周辺の風景が変化したことに伴い、訪れることが多くなった外国人をはじめとした様々な人々を受け入れるため、内容の充実を図るリニューアル工事。アルミ製のデザインパンチング外装パネルにて【のれん】を表現し、お客様をお迎えしています。
●パンチング加工とR加工で【のれん】を演出
既存部と増築部の正面ファサードを一体で覆う外装パネルを白い【のれん】のイメージで実現したいと、設計事務所より相談がありスタートした本プロジェクト。江戸小紋*の青海波**柄の【のれん】が風でめくれている風情を、パンチング加工とR加工を取り入れる形で表現したいとの要望でした。
限られた予算のなか、この条件を満たすために、金属製品として出来ることを数多く提案。顧客のニーズを満たす仕様にて取極め、受注するに至りました。
*江戸小紋(こもん):小紋は全体に細かい模様が入っている日本の着物(和服)の種類の一つ。江戸時代、質素倹約の名のもとに、色数を抑える一方で柄の細やかさにシノギをけずることでその「粋さ」を表現しようとしたことが江戸小紋の由来で、現在は伝統柄で基本的には単色染めでしか使わないという特徴がある。
**青海波(せいがいは):同心円を三重に重ね、波のように反復させた文様。雅楽「青海波」の装束に使われたところから名付けられた。
●青海波柄をデザインパンチング加工で表現
270㎡の外装ファサードは、φ30㎜のパンチング穴が青海波柄を描くように、3㎜のアルミ板に配置したデザインパネル。その中ほどからパンチング穴が漸減し、上部はフラットパネルとなる意匠になっています。ファサード下部は【のれん】がめくれる様子を演出しているRパネル。正面から見て左からの3列は、440㎜手前、1700㎜奥、270㎜手前へと曲線を描いています。
基準割付がW870㎜×H4000㎜の外壁パネルは、パンチングパネルに適している白鼠色(しろねずいろ)の高耐候性ポリエステル粉体塗装。下部の軒天パネルは、シルバーホワイトのフッ素樹脂焼付塗装を施しています。
●細目地対応など要望に合わせた設計
4列の【のれん】は、それぞれに一体感をもたすために、パネル間は5㎜の細目地で設計しています。そのためパネルの取付方法は、パンチング穴の利用や引掛け納まりを併用するなどの工夫をしています。
取付下地に関しては、4ユニットとも躯体とパネル間の出入りが異なり、端部は持ち出し部もあることから種類が多くなりました。そのような中、現場で切粉が出ない納まりとして欲しいとの要望のもと、ブラインドナットを正確に工場にて組み付ける設計をすることで対応しました。
●ライトアップで一層引き立つデザインパンチング外装パネル
外装メタルファサードの下部には照明BOXを設置。夜間はライトアップすることで、和のテイストを一層引き立てています。
夜間の演出を含めたデザインパンチング外装パネルは、和モダンを基調とするコンセプトに貢献したとKIKUKAWAは考えています。「両国湯屋 江戸遊」が、北斎通りのランドマークとして今後寄与することを期待しています。
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
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外装 デザインパンチングパネル |
アルミ | デザインパンチング 高耐候性ポリエステル粉体塗装 |
ファサード下部 軒天パネル |
アルミ | フッ素樹脂焼付塗装 |
建物名称 | 両国湯屋 江戸遊 |
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施主 | 株式会社 東新アクア CMr:株式会社 佐藤総合計画 |
設計 | 株式会社 久保都島建築設計事務所 |
施工 | 松井建設 株式会社 |
竣工 | 2019年 |
建設地 | 東京都墨田区 |