2021年8月3日
三次元加工技術を駆使したスチール下地架台
KIKUKAWAは三次元形状製品、例えば、建物を印象的に見せる外装パネルなどをはじめ、金属製のモニュメントやアート作品の製作などにも携わっています。今回は、三次元加工技術を駆使してアート作品の下地架台を製作した事例をご紹介します。
2021年4月にオープンした、東京工業大学大岡山キャンパスの国際交流拠点「Hisao & Hiroko Taki Plaza」の中に飾られたパブリックアート「ELEMENTS OF FUTURE(エレメンツ・オブ・フューチャー)」。この作品は、漫画家で映画監督の大友克洋氏が原画・監修を務めた立体的な壁画作品で、約500個の陶板が組み合わさって構成されています。KIKUKAWAは、このアート作品の陶板レリーフの下地となる架台を製作しました。
中央部に向かって盛り上がる形状をしているこちらの作品。そのため、下地架台も球体の一部を切り取ったような三次元形状での製作となりました。
直径5200㎜、壁面からの高さが500㎜と大型の球面状の下地架台。スチールのリブパネルを格子状に組み、その上から板厚2.3㎜、3φ×5㎜ピッチのスチールパンチングパネルをかぶせて構成しています。下地架台表面にパンチングが施されていることで、陶板レリーフのパーツをどの位置にも針金で取り付けられるようになっています。
頂点がやや上方にずれており、上下で曲面が非対称になっているパンチングパネル。そのため、全てのパネルが役物となり、一枚一枚異なる三次元曲面を形成する必要がありました。3D-CADにて設計を行い、球面のパンチングパネルは伝統的な職人技であるたたき出しにて三次元形状に曲げ加工。KIKUKAWAの三次元加工の経験とノウハウを最大限に発揮し、難易度の高い形状を実現することができました。
円全体を10のユニットに分け、球面のパンチングパネルと格子状下地を1つのユニットとして工場で組立。現場にて揚重作業で施工しています。
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KIKUKAWAのテクノロジー – 設計技術力
KIKUKAWAのテクノロジー – 三次元加工技術
下地架台の中央部には、渦の中心を表現するアート作品のデザインに合わせ、開口1350㎜、深さ400㎜の凹部があり、こちらも同様にパンチングパネルに三次元の曲げ加工を施しています。陶板レリーフの配置に合わせて複雑に切り取られた形状をしている部分は、レーザーカットにて加工しました。
KIKUKAWAは、職人の伝統技と最新技術とを融合させることで、三次元形状などの難易度の高い加工にも果敢に挑戦しています。本プロジェクトのように、「下地のみ金属で製作して欲しい」といったご要望にもお応えします。イメージの実現に向け、様々なアプローチ方法を検討してご提案いたしますので、金属加工でお困りのことがありましたらぜひ一度KIKUKAWAにご相談ください。
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