
北面の4連光庇:長尺かつパネルへの光源の映り込みも考慮した仕様になっている
上段:長尺タイプの北面光庇
下段:西面オフィスエントランス-水平フィンは電解研磨+二次電解を施したアルミ製品
5Fスカイロビー:吹抜け廻りのボーダー・手摺・楕円柱などはPHL仕上げのSUS製品
●高い意匠性を金属で実現する技術力

【日本橋室町三井タワー(手前)と日本橋三井タワー(奥)全景】
日本橋の北の玄関口として開業した、東京メトロ「三越前」駅・JR「新日本橋」駅直結の大規模複合ビル「日本橋室町三井タワー」の金属工事に、KIKUKAWAは参画しました。
商業施設「COREDO室町テラス」のほか、日本や世界を代表する企業が入居し、地域の防災拠点としての役割も担う「日本橋室町三井タワー」。日本橋の歴史を感じさせる街並みにも調和しつつ、かつ最先端技術やグローバル視点を取り入れた、新旧・和洋の融合する新しい空間となっています。その意匠性の高さは、人々の交流・賑わいの中心地に彩りをそえています。
●外観と品質を両立した長尺の光庇
交差するメイン通りに面した「COREDO室町テラス」のエントランスの顔ともいえる、東面は3連、北面は4連で連なるアルミとステンレスで構成された光庇。隣接する日本橋三井タワーのデザインを踏襲しながらも、より長尺になっており(最大:W5375㎜×L8945㎜)、ガラスを含めた他の取り合いも複雑化しています。
外観は変えないという条件のなか、強度をはじめとする品質を満たす下地構成やガラスフレームなどの納まりを工夫して作図。製造部門とも試作などで密に連携することで、要望に応えることができました。
モックアップ時に間接照明の光源がパネルに映り込む影響が大きいことが判明した表面仕上げについては、それらを考慮しながら各種塗装について試行錯誤しました。最終的に、ダークブロンズ近似色のポリエステル粉体塗装を採用しています。
また、南面と北面の2ヶ所の風除室の光軒天井も光庇と同様の仕様で納めました。
●電解研磨+二次電解着色を施したアルマイト製品
オフィスエントランスがある西面の水平フィンと柱型パネルは、アルミ板2.5㎜の曲げ加工品。両製品ともステンカラー色の二次電解着色を色ムラなく施しています。さらにコーニスパネルに関しては電解研磨を施したうえで着色したものとなっています。
全長97mほどある水平フィンは、奥行き800㎜、見えがかりの高さ120㎜。9ヶ所の曲げ加工にて1枚で納めた屋根+ボーダーパネルは、軒天パネルと合わせて、すっきりした形状となっています。
4面のうち2面がアルミパネルの8ヶ所の柱型は、幅1.6m、高さ10m。1面につき6枚で割付していて、縦目地は8㎜で納めています。
KIKUKAWAのテクノロジー –陽極酸化皮膜(アルマイト)処理の金属建材はこちら
●空間全体の統一感を実現するKIKUKAWAのステンレス工事

【6FLからみたSUS楕円柱】
オフィスエントランスから直通の5階スカイロビーの吹抜け廻り、PHL(バイブレーション仕上げ)のステンレス工事は、窓周りから始まりエスカレーターとガラス手摺まで一体となって連続するデザイン。そのため、各製品のディテールと全体のバランスを並行して考える必要がありましたが、ワンストップの強みを活かし、設計段階で工場の作り込みから施工性までを各部署で検討しながら対応しました。
連続しているH440㎜ボーダー部のルーバーパネルは、角パイプ(見附40㎜×見込25㎜)を80㎜ピッチで5本配置。手摺部は緩やかな曲線となっていて、全て点検口仕様となっています。それらボーダーと取り合う、ガラス手摺枠、ESCガラス枠、光ペリカバー枠+パネルもステンレス製品として納品。ガラス手摺の手摺支柱の角度を一本一本全て異なるなどのこだわりの要望にも丁寧に応えています。
6階の6本の柱型パネルは、H3.2m、対角が840㎜×500㎜の楕円形状。KIKUKAWAの曲げ技術を駆使したステンレス3㎜のカットパネルは、シャッター部に合わせて横平楕円パネル2枚で納めています。
●品質と技術力の実績がさらなるお客様との信頼関係を構築

【南面3Fのバルコニー手摺。大庇下部のSUSバトンも納めている。】
日本橋再生計画(※)の核をなす重要プロジェクト「日本橋室町三井タワー」において、南面2・3階のバルコニー手摺など上記以外にも、様々な金属製品を納めています。このことは、2005年に竣工した隣接する「日本橋三井タワー」での納品実績と技術力を高く評価していただけていたことが、要因の一つとなっています。
本プロジェクトにおいても同様に、KIKUKAWAの品質と技術力は、信頼をいただくことができ、お客様との継続的な関係性の構築につながっています。
(※)日本橋再生計画:日本橋地区において「残しながら、蘇らせながら、創っていく」をテーマに官民地域が一体となって推進する計画。第2ステージでは10のプロジェクトが計画されている。そのうちの一つ、「OVOL日本橋ビル」にもKIKUKAWAは参画。
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
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北面・東面1F 光庇 |
先端ボーダー・ガラス枠 :ステンレス 屋根及び軒天パネル:アルミ |
ポリエステル樹脂粉体塗装 |
西面オフィスエントランス 水平フィン・柱型パネル |
アルミ | 二次電解着色ステンカラー (水平フィンは電解研磨の上) |
5Fスカイロビー ガラス手摺・楕円柱パネル・ ボーダーリブパネル他 |
ステンレス | PHL 楕円曲げ加工 |
建物名称 | 日本橋室町三井タワー |
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施主 | 日本橋室町三丁目地区市街地再開発組合 三井不動産 株式会社 |
設計 | デザインアーキテクト:ペリ クラーク ペリ アーキテクツ ジャパン 基本設計:株式会社 日本設計 実施設計:KAJIMA DESIGN |
施工 | 鹿島・清水・佐藤工業特定業務代行共同事業体 |
竣工 | 2019年 |
建設地 | 東京都中央区 |