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立正佼正会京都教会

立正佼正会京都教会 手前から法座棟・中央棟・会議棟

立正佼正会京都教会 手前から法座棟・中央棟・会議棟

上段:会議棟・回廊 ブロンズ製の御簾(スダレ)と手摺、丸柱が雰囲気を醸成している
下段:法座棟・正面入口 階段手摺や大庇軒天、破風垂木が社寺としての重厚さを与えている

法座棟・風除室 壁や天井、建具は全てブロンズ製 扉は特に荘厳な印象を与える

●金属製品にて荘厳な宗教建築に貢献

1993年竣工の宗教建築物である立正佼成会の「京都教会」に、ブロンズ工事全般を中心にKIKUKAWAは参画しています。立正佼成会の建築物は、横浜の「普門館」と「発祥の地記念碑」、「神戸教会」に引き続き4件目となります。それぞれに特徴的な宗教建築に続けて携わることができたのは、顧客の要望やこだわりを忠実に実現し、評価していただいた結果だと自負しています。
「京都教会」は、会議棟・法座棟・中央棟の3棟に分かれており、地下で繋がっています。それぞれの外装・内装とも伝統的な様式を踏襲した荘厳な意匠をこらしており、KIKUKAWAの金属製品がそれらに貢献しています。

プロダクト施工事例 – 立正佼正会神戸教会のページはこちら

●社寺建築の構造の美をブロンズパネルで

構造と意匠の両面から種々の工夫がされている社寺建築において、「京都教会」では本来は木であるところを、構造は鉄骨(別途)、意匠はブロンズパネルの組合せで多くを構成。中でも、重要な美のポイントのひとつである屋根・軒廻りや柱型には、銅(Cu100)にPHL(バイブレーション)研磨のうえに硫化イブシ仕上げが採用されています。
反りのある深い軒を支える桁行(※1)カバーは銅板2㎜を、会議棟はW250×H244~174㎜、 法座棟はW300×H361~265㎜で製作。下端が反りに合わせた曲面である梁行(※2)カバーは銅板3㎜を、会議棟はW350×H446~316㎜、 法座棟はW400×H638~483㎜をブロンズ溶接技術を駆使して製作しました。
法座棟・破風(※3)下部の化粧垂木(※4)は、銅板3㎜の角パイプ形状100㎜角の端部が、むくり屋根(※5)に合わせた曲線を描くように、1本1本調整して納めています。
銅板2㎜の丸柱カバーは、会議棟はφ800㎜、 法座棟はφ950㎜。外部・内部の取合にあるため、複雑な納まりとなっています。
そのほかにも、軒奥の梁カバーや軒ボーダーパネル、内部の柱や梁カバーなども同様のブロンズパネルで製作。破風見切りパネルは、丹銅(CuZn90)硫化イブシを採用しており、色味の違いを出しています。

(※1)(※2)桁行(けたゆき)・梁行(はりゆき):社寺建築において、屋根の棟に平行な方向を桁行,これと直角な方向を梁行と呼ぶ。
(※3)破風(はふ):日本建築で切り妻の屋根の端に山形に取り付けるもので、神社仏閣の建築を起源とするデザイン。
(※4)垂木(たるき):木造建築で棟から軒にかけた斜材。意匠として見えるものを化粧垂木、見えないものを野垂木という。
(※5)むくり屋根:社寺でよくみられる曲線で構成されている屋根の内、屋根の面が膨らんでいるもの。日本独自の建築様式と言われている。

KIKUKAWAのテクノロジー-硫化イブシ仕上げのページはこちら

●ブロンズキャストの宝珠と金箔押しの御紋章

屋根頂部の宝珠は、鋳物(ブロンズキャスト)で製作し、PHL研磨の上に硫化イブシ仕上げを施しています。会議棟は、φ1000㎜の蓮弁にφ650㎜の宝珠が鎮座。法座棟は2ヶ所あり、蓮弁と宝珠とも、φ900㎜にて納めています。
法座棟の破風下部の妻パネル上のφ800㎜の御紋章は、FRPで成形したものに、漆下地を塗り金箔押しをして仕上げています。妻パネルはエンボス加工をしたアルミ製で、フッ素樹脂焼付塗装を施しています。
また同様の御紋章は、中央棟入口の上部と法座棟・聖壇の上部にあり、同様の製作方法の輪宝(※6)が法座棟の棟木(※7)に2ヶ所納めています。

(※6)輪宝(りんぽう):古代インドの兵器で、車輪の形をしている。仏教に取り入れられて、理想の国王とされる転輪王が所持する七宝の一つとされる。
(※7)棟木(むなぎ):屋根の骨組みを構成する基本的な構造材の一つで、屋根の最上部に水平にわたされる部材。

●銅と趣きを異にする真鍮・丹銅に硫化イブシした製品

会議棟の回廊を囲う御簾(スダレ)と手摺は、基本的に真鍮(黄銅:CuZn60)製で、硫化イブシを施しています。銅に硫化イブシした製品が赤っぽいのに対して、真鍮の場合は黄色味があり、その対比に趣があります。
御簾(スダレ)は、真鍮φ16㎜のHL丸パイプを32㎜ピッチで26段重ねたH970㎜。縦の通し材は、横材とのピッチ部分にポリカーボネートのチューブを緩衝材として巻いたステンレスの丸棒で、それを吊る金具はブロンズキャスト製、縦枠は銅の平板12㎜を使用しています。
H1100㎜の手摺は、見えがかりによりHLとPHLを使い分けて研磨。1.5㎜の真鍮板を曲げ加工した山形の手摺笠木と、内外ダブルで10段の真鍮角パイプ40㎜×20㎜の横桟、銅50.8㎜の丸パイプ支柱で構成しています。手摺下の笠木及びボーダーパネルは、銅1.5㎜にて納めています。(飾り幕板は別途)
法座棟の回廊と正面階段の手摺は、HLの上に硫化イブシ仕上げで、銅丸パイプφ125㎜にY字のブロンズキャスト支柱で構成。階段中央部の支柱カバーはPHLの丹銅2㎜に硫化イブシを施し、銅製のチェーンで繋いでいます。また、正面階段の照明器具を備えた燈篭(とうろう)はブロンズキャストの台座とHL丹銅の丸柱パネルを組み合わせて製作しました。

※銅・丹銅・真鍮の色味の違いなどは下記を参照してください。
KIKUKAWAの金属仕上ラインアップ – ブロンズのページはこちら

●入口の出迎えは硫化仕上げパネルにて

法座棟・正面玄関の大庇から風除室に続くブロンズパネルは、銅板にPHL研磨のうえ硫化イブシ仕上げでまとめています。
大庇の軒天は、銅板1㎜を成形した幅150㎜のスパンドレル形状を重ね貼りにて施工。断面的に4段のデザインが緩やかなR形状となっています。それを囲う段鼻ボーダーは、2.0㎜の銅板を加工しており、側面はR形状に合わせて製作しています。
風除室の天井は、銅板1㎜を成形した幅100㎜のスパンドレル形状を重ね貼りにて施工。梁や壁は銅板2.0㎜のパネルで、壁は内側に向かってR形状となっており、梁下端もそれに合わせて製作しました。幅100㎜のスパンドレル銅板は、エントランスホールやEVロビーなどにも多く採用されています。

●重厚なブロンズ建具

法座棟・風除室のブロンズ建具は、基本的に丹銅2㎜の曲げ加工品とブロンズキャストとの組み合わせ。PHL研磨のうえ硫化イブシ仕上げを施しています。
正面は、W2400㎜×H2890㎜の両開き框扉が3連となっていて、100㎜角模様の面格子は一枚鋳造で製作。中央の扉は穴明き格子となっていてガラスが挟まれていますが、両脇は同じ模様はそのままにフラッシュタイプとなっています。
3連扉と内部に通じる2ヶ所の扉の押棒は、流線形のブロンズ鋳物の特注品。上部の飾りが、花が開いているタイプと蕾タイプなど3種類を使い分けています。
W1400㎜×H2250㎜のR壁中央のガラススクリーン枠には、鋳物で製作したデザイン画が飾られています。
「京都教会」では、ステンレス製を含め60ヶ所以上の建具を納めていて、うちブロンズ建具は20ヶ所以上に及びました。

品名・施工個所 材質 仕上げ・加工
桁行・梁行カバー
柱・梁カバー
化粧垂木
軒天・天井他パネル工事
ブロンズ(銅) PHL+硫化イブシ仕上げ
宝珠
御簾(スダレ)
手摺他金属工事
ブロンズ(銅・丹銅)
ブロンズキャスト
HL又はPHL+硫化イブシ仕上げ
金箔押し(御紋章)
ブロンズ建具工事 ブロンズ(丹銅)
ブロンズキャスト
ブロンズ装飾建具
PHL+硫化イブシ仕上げ
建物名称立正佼正会京都教会
施主立正佼正会
設計株式会社 大澤建築研究所
施工株式会社 大林組
竣工1993年
建設地京都府京都市東山区