麻布台ヒルズ大屋根のアルミ製梁・柱型パネルを製作
曲面のパネルが何層にも重なる梁パネルは3D設計技術にて対応
巨大な雲が浮かぶ意匠を金属パネルで実現
●雲をモチーフにした麻布台ヒルズ広場大屋根
麻布台ヒルズを象徴する超高層複合タワー「森JPタワー」の足元には、様々なイベントが開催できるアリーナとして整備された空間があります。その大屋根の金属工事にKIKUKAWAは参画しました。
複数の曲線で形作られた大屋根「The Cloud」は、風の大きなうねりによって空に浮かぶ丸い雲「吊るし雲」がモチーフ。イギリスの著名なデザイナー、トーマス・ヘザウィック氏がデザインしました。人々が集うことで生まれるエネルギーを表現したかのような、これまでにない大胆な意匠を金属パネルで形にしています。
●曲面かつ複雑なパネル納まりを可能にした3D設計技術
大屋根は高さ18.7m、縦横約35mの大空間。不規則な曲面と複雑なパネルの重なりで構成された梁型パネルは、KIKUKAWAの3D設計技術を駆使して設計にあたりました。早期の段階から3Dデータを作成し、意匠の確認や下地構成の検証、製作・施工の検討などを3Dデータ上で行っています。特に今回は、狭い入隅に金属パネルが何層にも重なって密集している箇所があり、施工に困難が予想されました。そこで、VRを活用してパネル間に取付職人の手が入るかを視覚的に検証。後戻り作業を防ぎ問題なく施工を完了させています。
●メタリック塗装で仕上げた梁・柱型アルミカットパネル
梁型パネルはアルミの幕板・笠木・梁下パネルで構成しています。
外周幕板はH≒2,700㎜のアルミカットパネル。出入りを50㎜ずつずらした3段構成となっており、パネルのL寸割付も1段ごとに変えた意匠です。仕上げはパール調ホワイトメタリック色のフッ素樹脂焼付塗装で、デザイナーの希望の色味を実現するため何度もサンプルを作成しました。自社工場にて大型の屋外モックアップ検査も実施し、お客様と協議を重ねながら製作を進めてまいりました。
また、特殊形状となる大きな笠木パネルは、曲線かつ長距離の溶接が安定して行えるロボットアームのファイバーレーザー溶接機を活用することで、ひずみを極力おさえて製作しています。
大屋根を支える3本の柱型パネルは、直径2,500㎜~1,750㎜へと、下から上に向かって細くなる形状。1本につきアルミカットパネル16枚で構成しています。アリーナでのイベント開催に対応するため、照明や音響といった設備を取り付けるスチールパイプ製ラダーも設置しました。グレーメタリックのフッ素樹脂焼付塗装で仕上げています。
●設計・製造・施工の全てで顧客要求を満たす総合力
計画当初、雲が浮かんでいるようなイメージパースをお客様からいただき、「そもそも金属パネルで実現可能なのか?」という段階から打合せがスタートした本プロジェクト。デザイナーであるヘザウィック氏の理想を、現実的なコストで可能にしたいというお客様の想いにお応えするべく、当社も様々な検討やご提案を行いました。複雑なR形状の納まり、数量約1,600㎡かつ全数役物のパネル製作、早期の施工計画など、設計・製造・施工の全てにおいて顧客要求を満たすKIKUKAWAの総合力で、デザインを形にすることができたと考えています。お客様から非常に高い評価をいただき、今後の再開発現場等にもつながるような更なる信頼を獲得することができました。
麻布台ヒルズではその他の金属工事にも携わっています。詳しくはこちら
麻布台ヒルズ タワープラザエントランス・煙突外装パネル
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
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大屋根 梁パネル |
アルミ | ファイバーレーザー溶接 フッ素樹脂焼付塗装 |
大屋根 柱型パネル |
アルミ | フッ素樹脂焼付塗装 |
建物名称 | 麻布台ヒルズ アリーナ 大屋根「The Cloud」 |
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施主 | 虎ノ門・麻布台地区市街地再開発組合 |
設計 | 森ビル株式会社 一級建築士事務所 株式会社日本設計 大屋根デザイン:Heatherwick Studio |
施工 | 清水建設株式会社(建築) |
竣工 | 2023年 |
建設地 | 東京都港区 |