斜めの目地にてユニットされたブロンズ外装フィン(硫化イブシ仕上げ)
Gillフィンと呼称されたセクション。1面が内側にえぐれている。
垂直・水平だけでなく、様々なタイプのブロンズ外装フィン
●ロンドンシティの重厚な街並みに調和した外装ブロンズフィン
97タイプ、およそ1000体の外装ブロンズフィンは、先端技術とノウハウに基づく職人技と熱意によって、金属の美しさを洗練させ、「ブルームバーグ新欧州本社屋」のあるロンドンシティの重厚な街並みに調和しています。
最大のユニットのサイズは、幅2300㎜、高さ3300㎜、重量は約500kgにもなります。ユニットの構成は、その形状もさることながら、部品一つを取っても曲げ精度、取り付け位置等、高い製作精度が求められました。それらをひとつひとつ技術提案することで解決、要求通りの製品を納めています。
●妥協のないモックアップ
特殊な三次元形状が多いこともあり、1/3モックアップ→1/10モックアップ→フルスケールモックアップと数回の試作やモックアップを製作し事前確認。顧客要求やデザイン・性能を押えた上で、その中で得られた問題点や改善点を図面にフィードバックし、品質の向上や生産性向上に繋げました。
このフィンによる、最初のクライアント向けのモックアップの高評価が、KIKUKAWAがほぼ全数のブロンズ製品を製作することに決まるきっかけとなっています。
●クリアランスのない中でのユニット化
限られた工期で効率良く施工するため、外装フィンは全て工場でユニット化され、現地ヘ搬入されています。
ブロンズパネルと三角体のパネルフレームとのクリアランスがほとんどないなか、設計段階からの納まりや手順の検討、試作での試行錯誤、精度の高い曲げ加工、組立工程での治具や工具の工夫。そして、下地をねじれなく精密に製作することで、諸所の問題を解決しました。
また、R曲線が組み合わさったデザインは、図面上では三次元形状になっているため、最後は職人技により矯正する作業をタイプ毎に行いました。特に、Gillフィンと呼称されたセクション、Gill=魚のエラを意味するように、1面が内側にえぐれており、さらにシビアさが求められました。
KIKUKAWAのテクノロジー-板金曲げ技術のページはこちら
●匠職人による流麗な三次元曲面
垂直フィンの上下キャップは、いずれも流麗な三次元曲面で成形。そのRパターンは200種類以上にものぼります。立ち上り部分は全周溶接のため金属が変形していくなか、図面通りの形状とするためには、それこそ匠職人による経験とノウハウを必要とするものでした。溶接部がシームレスになる磨きだしなども含め、このキャップはひとつひとつが、手作業による作品といえるものになっています。
KIKUKAWAのテクノロジー-三次元加工技術のページはこちら
●デザイン性と機能性を合わせた外装ブロンズフィン
外装フィンの特徴的な形状は、デザイン性はもちろんのこと機能性も重視されています。
コンセプトである、建物が自然に「呼吸」することで効率的に快適な空気環境を実現させるため、社屋周辺の天気に合わせて開閉するファサードとともに、外装フィンの形状は「呼吸」のための空気の流れを考慮した設計になっています。
その形状を忠実に実現したことは、「ブルームバーグ新欧州本社屋」が英国グリーンビルディング評価機関のBREEAMから設計面で過去最高の98.5%スコアを獲得し、最高位「Outstanding」を取得したことに貢献しています。
【全体の紹介や他の製品の詳細については下記リンクをご参照ください】
プロダクト施工事例 – Bloomberg European headquarters(ブルームバーグ新欧州本社屋)
プロダクト施工事例 – Bloomberg European headquarters(低層ブロンズ工事)
プロダクト施工事例 – Bloomberg European headquarters(ランプ:螺旋階段工事)
品名・施工個所 | 材質 | 仕上げ・加工 |
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外装フィンパネル | ブロンズ(丹銅) | HL+硫化イブシ仕上げ FSW接合 特殊曲げ加工 三次元加工技術 |
建物名称 | Bloomberg European headquarters(外装フィン工事) |
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施主 | Bloomberg L.P. |
設計 | Foster + Partners |
施工 | Main Contractor:Sir Robert McAlpine Ltd. Facade Contractor:Josef Gartner |
竣工 | 2017年 |
建設地 | イギリス ロンドン |