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Bloomberg European headquarters(ブルームバーグ新欧州本社屋)

Bloomberg European headquarters:twin shot

ブロンズ製品が特徴的なブルームバーグ新欧州本社屋

上空からの撮影でブロンズ屋根の様子がわかる

夜間のファサードの様子。ブロンズ製品が違う表情をみせる。

●過去に例のない規模のブロンズ工事

経済・金融情報を扱う世界的大手サービス会社「ブルームバーグ/Bloomberg」(本社はアメリア合衆国・ニューヨーク)の、ヨーロッパ本部の新社屋のブロンズ工事にKIKUKAWAは携わりました。
ロンドンシティの中心街、イングランド銀行とセント・ポール大聖堂の間に位置する「ブルームバーグ新欧州本社屋」は、10万㎡を超える広大な敷地に2つの建物が建てられ、ブリッジとガレリアで結合されています。
建築デザインを手がけたのは、世界有数の建築設計事務所であるフォスター・アンド・パートナーズ(Foster + Partners)を設立したノーマン・フォスター卿(Lord Norman Foster)。そのデザインに欠かすことのできない、KIKUKAWAの古美(ふるみ)仕上(硫化イブシ)を施した外装・内装ブロンズパネルは、総量43,000㎡超(700ton超)と、過去に例のない規模となっています。

●KIKUKAWAのブロンズ製品の品質・技術

フォスター・アンド・パートナーズへの営業アプローチを進めて2年、KIKUKAWAのブロンズサンプル帳から、その仕上げである硫化イブシを選定、スペックインして頂いたのがはじまりでした。
しかし、受注にいたるまでには多くの問題がありました。当初クライアントは、ヨーロッパでブロンズ製品調達を考えていたこともあり、ロンドンからはるか離れた日本から時間、コストをかけて輸出するには大きなビハインドがありました。
そのような中、ディティール実現やコストダウンの為の技術提案、最新技術導入を含めた生産体制、ブロンズ製品の実績アピール、環境への取組などをきめ細やかに対応。これらの成果に加えて、モックアップなどの品質に対する高評価が、良品をBloomberg社が望むとの方針と合致。ほぼ全数のブロンズ製品をKIKUKAWAが製作することに決まりました。

KIKUKAWAの金属仕上ラインアップ-ブロンズのページはこちら

●最新設備・新技術の導入

主要なブロンズ製品である、外装フィンパネル・屋根パネル・低層ブロンズパネル類・螺旋階段手摺壁パネルは、いずれも形状が複雑で加工度が高いものです。なかでも、三次元形状の製品が多いこともあり、すべての図面を3D-CADにて作図しています。
フィンパネルや手摺壁は、材料である丹銅(ブロンズ)材の製作可能コイル幅1250㎜を超える割付となっており、そのディティールを品質を含めて実現するために、FSW(摩擦攪拌接合)機を導入。接合して大板を製作することで対応しています。
低層の自由曲線の庇パネルや螺旋階段の笠木などは、ファイバーレーザー溶接機を導入して対応。3次元曲線に対しても、ひずみの少ない、きれいな溶接がなされています。
それ以外にも特殊な加工方法として、低層ルーバーにてコルゲート形状テンション曲げ工法、手摺壁にてRブロンズ・ハニカム接着工法など、多くの新技術が本プロジェクトを通じて導入され発展しました。

KIKUKAWAのテクノロジー-三次元加工技術のページはこちら
KIKUKAWAのテクノロジー-FSW(摩擦攪拌接合)のページはこちら
KIKUKAWAのテクノロジー-ファイバーレーザー溶接のページはこちら

●KIKUKAWAの古美仕上(硫化イブシ)

採用された古美仕上は、HL+硫化イブシ+アクリルシリコンクリアー。自然に発生する経年変化や色調の濃淡が風合を醸し出す硫化イブシは、材料の化学組成の微細な違いや素地表面の研磨度合といった素材要因、気温や湿度といった環境要因などに影響されるため、色のコントロールが非常に難しい仕上げです。
その色調を、クライアントの要求のレンジ内で管理するため、従来の色差計とは異なる広い面でRGB値(※)を測定できる検査機器を導入。RGBデータ撮影をすることで、合否判定を数値にて管理しました。本プロジェクトに先立ち工場内に整備した硫化イブシ仕上げの為の塗装ラインにその管理システムを組込み、要求品質を担保。また、基本的な平パネルがほとんどないなか、固定架台や吊り冶具などを工夫することで、デリバリー管理も担保しました。
(※)RGB値:色を指定するための値。赤・緑・青(Red・Green・Blue)の各色を0~255の値で指定すると,値の組み合わせによって色が決まる。

KIKUKAWAのテクノロジー-硫化イブシ仕上げのページはこちら

●再利用可能なスチール梱包にて大規模な長距離輸出

過去に例のない大規模な長距離輸出の管理。環境意識の高いクライアントの要望に応じ、環境負荷軽減のため従来の木枠梱包を用いず、再利用可能なスチールを採用した梱包を提案、実施しました。
スチールケースメーカーと提携し、製品の形状や数量、施工現場での製品の出し入れを考慮。600種以上の梱包パターンを考案し、2300ケース以上の出荷を行いました。
三次元的な形状を持った製品も多種存在するなか、安全に梱包し輸送するため、3DCADにて梱包設計。製品設計と同時に梱包検討をし、ケースの設計から出荷の管理までの一貫したコントロールにより、高効率な梱包と輸送を完遂することができました。

●金属工芸の伝統

KIKUKAWAの伝統である、「何にでも挑戦する」という姿勢と、「Never Say No」精神に基づいた丁寧な対応が、クライアント、アーキテクト、コントラクターと関わったすべての方々にKIKUKAWAの良さを認めて頂く結果と繋がり、ヨーロッパに多くのファンを獲得するにいたりました。特に、フォスター卿からは、「職人の手業と最新機械の融合でこの様な素晴らしい製品が出来ていることがわかった。」とのお言葉と、「素晴らしい金属工芸の伝統のために」というメッセージをいただいています。
「ブルームバーグ新欧州本社屋」にて獲得した経験は、ノウハウとなり新たなKIKUKAWAの技術力となり、自信となっています。

ノーマン・フォスター卿ご来場の様子はこちら
工場見学:フォスター卿のご来場

※著名な建築Webマガジンである「archdaily」にて「Bloomberg’s European HQ 」が紹介されており、製作会社の一つとしてKIKUKAWAが表示されています。
メディア掲載:「ArchDaily」ブルームバーグ新欧州本社屋のページはこちら

※Bloomberg社が製作した動画にKIKUKAWAが登場しています。
The Facade of Bloomberg’s London Building: It’s All in the Details (4分過ぎからに登場します)
Workplace of the Future: London (5分30秒ごろに登場します)

【製品の詳細については下記リンクをご参照ください】
プロダクト施工事例 – Bloomberg European headquarters(外装フィン工事)
プロダクト施工事例 – Bloomberg European headquarters(低層ブロンズ工事)
プロダクト施工事例 – Bloomberg European headquarters(ランプ:螺旋階段工事)

品名・施工個所 材質 仕上げ・加工
ブロンズ工事:
外装フィンパネル
屋根パネル
低層ブロンズパネル類
ガレリアブロンズパネル
螺旋階段手摺壁パネル
ブロンズ(丹銅) HL+硫化イブシ仕上げ
FSW接合
レーザー溶接
三次元加工技術
テンション曲げ工法
Rブロンズ・ハニカム接着工法
建物名称Bloomberg European headquarters(ブルームバーグ新欧州本社屋)
施主Bloomberg L.P.
設計Foster + Partners
施工Main Contractor:Sir Robert McAlpine Ltd.
Facade Contractor:Josef Gartner
竣工2017年
建設地イギリス ロンドン