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プロダクト施工事例

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新丸の内ビルディング

新丸の内ビルディング:特殊深曲げ角出し加工のステンレスカーテンウォール

特殊深曲げ角出し加工のステンレスカーテンウォール
(左:西面とその拡大、右:東面)

アルミ軒天井パネルを中心とした低層廻りの様子
(左上:北西コーナー、左下:北東コーナー、右:東面)

貫通通路のアンティークブロンズ塗装を施したスチール枠
(上:大アーチ、下:西面出入口)

●東京駅の表玄関となるシンボルタワーに金属工事で貢献

東京駅丸の内南口方向からの新丸ビル全景

【東京駅丸の内南口方向からの新丸ビル全景】

「丸ビル」とともに、東京駅の表玄関にふさわしいゲート性を備える「新丸の内ビルディング」の金属工事と建具工事にKIKUKAWAは参画しています。
「新丸の内ビルディング」は、1952年(昭和27年)竣工の「新丸ノ内ビルヂング」を建替えた2007年竣工のプロジェクト。歴史と文化を継承し東京駅や皇居など周囲の環境に調和した景観形成、国際ビジネスセンターにふさわしい知的創造性を高める開放的かつ快適なアメニティー空間の整備をめざすデザインとなっています。
周辺建物との連続性や回遊性を高めるコンセプトを担う、低層廻りのファサードや貫通通路の金属製品の多くにKIKUKAWAは携わりました。

プロダクト施工事例 – 丸の内ビルディングのページはこちら

●KIKUKAWAの曲げ技術を活かしたVE提案

特殊深曲げ角出し加工したステンレス枠-新丸

【特殊深曲げ角出し加工したステンレス枠】

低層部を周回する1~2階をまたがるスクリーン(東面=東京駅側は3~5階)のステンレス枠は、リブ形状を構成するため無垢材(FB)を溶接で組み合わせる案で設計されていました。その意匠を変えることなく、さらに水密性能の向上と軽量化を行い、コストダウンも図るため、板材を特殊な深曲げ角出し加工で行うことをKIKUKAWAは提案。技術の開発を推進し、試作をはじめとした様々な検証をした結果、採用されるに至りました。

KIKUKAWAのテクノロジー – 板金曲げ技術はこちら

●特殊深曲げ角出し加工にてステンレス枠を製作

1~2階のステンレスカーテンウォールの多くは、1箇所当たりW7500㎜×H9500㎜の大型建具。東面の3~5階は、中央の50mに渡り、高さ13mのマリオンが連続した構成となっています。

SUSマリオンの断面図(外部カバー)-新丸

【SUSマリオンの断面図(外部カバー)】

これらのマリオン(垂直枠)やトランザム(水平枠)などのステンレス枠は、2㎜のHL材を見附60㎜、見込350㎜に成形。内外部の凹型のカバーは、特殊な深曲げ角出し加工にて、溶接を用いない曲げ加工のみで製作しています。
同様のリブ形状枠は、風除室を始めとした出入口や内部のステンレス枠など、様々な場所に採用されました。
東面のコーナーを巻き込んで展開する1~2Fのガラスカーテンウォールは、リブガラスを含めた上下のHLステンレス枠を製作。9㎜のFB(平板)にて、曲線のコーナー部を伴う枠を精緻に納めています。

●クロムフリーのフッ素樹脂焼付塗装を施したアルミ製品

低層廻りのアルミ軒天井は、パネル部は3㎜のカットパネルで、ルーバー部は30㎜×150㎜の羽を100㎜ピッチで配置。Rコーナー部の軒天井パネルは、放射線状に割り付けるため、扇形の曲線パネルを重ねて、精度良く納めています。
仕上げはアルマイトを施した上にフッ素樹脂焼付塗装という特殊な組み合わせ。これは、当時としては先進的なクロムフリー化成処理*を実現するために採用された手法です。
軒天部幕板の下り壁リブパネルは、15㎜×60㎜の羽を横流しに60㎜ピッチで配置したほか、中層切替部や低層内部のパネルなど、様々なアルミ製品を納めています。

*クロムフリー化成処理(ノンクロム処理):6価クロメートを使用しない処理。アルミ建材に焼付塗装を施すためには、その前段階に密着性確保のため化成被膜が必要で、6価クロメート処理が一般的に行われてきました。しかし、6価クロムの溶出による環境汚染問題の顕在化、欧米を中心とした世界各国で6価クロムが使用規制物質に指定されたこともあり、6価クロムを含まない処理技術への移行が進んでいます。アルマイト処理は、下処理の化成被膜の代替の1つです。

●アンティークブロンズ塗装を施したスチール枠

1F、商業エリアの貫通通路の6箇所の大アーチ枠は、W7100㎜×H8800㎜で、スチールの3.2㎜の板を加工した枠や角パイプを組み合わせて構成。アーチ枠、竪枠ともに照明ボックスが裏に組み合わさっています。仕上げは、アンティークブロンズ塗装を施し、シックな高級感を演出しています。
貫通通路の出入口サッシ枠も、スチールの上にアンティークブロンズ塗装を施しています。凹型に加工した無目と方立の中央には、クロスHLを施したステンレス板を貼り付け、アクセントをつけています。

【アンティークブロンズ塗装とクロスHLについては下記をご参照ください】
KIKUKAWAの金属仕上ラインアップ – スチール
KIKUKAWAの金属仕上ラインアップ – ステンレス

●KIKUKAWAの対応力にて金属工事全般をリード

「新丸の内ビルディング」は、意匠図にて大量の金属製品がスペックされていました。そのため、プロジェクトの初期段階から積極的に竹中工務店の要請を受け、VE提案を含めた納まりや他材の取合を検討。施工図室に協力し、より詳細なディテールを固めていきました。また、上記以外にも、ガラス庇のステンレス部材やショーケース廻りの金物、駐輪場の金物などにも携わり、KIKUKAWAは低層部の金属工事全般をリードしました。
高層階のテナント入居工事にも参画し、クリスタルチタンパネルの製品などを納めたりもしています。

●様々な賞の受賞に貢献

「新丸の内ビルディング」には、コンセプト実現するため多くの金属製品や金属サッシが採用されています。そのことが、下記の受賞に貢献できたものと考えています。

◆2007年度グッドデザイン賞
分類:建築・環境デザイン部門 – 建築デザイン
受賞理由:ヨーロッパの成熟したオフィス街を彷彿とさせる彫りの深いファサードデザインを高い現代技術によって巧みに成立させている。
※グッドデザイン賞は、公益財団法人日本デザイン振興会の主催で、毎年デザインが優れた物事に贈られる賞。人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、建築もその対象に選ばれる。
詳細は下記をご参照ください。
https://www.g-mark.org/award/describe/33687

◆2009年度 第50回BCS賞
※BCS賞は、一般社団法人日本建設業連合会の主催で、「優秀な建築物を作り出すためには、デザインだけでなく施工技術も重要であり、建築主、設計者、施工者の三者による理解と協力が必要である」という発意により、良好な建築資産の創出を図り、文化の進展と地球環境保全を寄与することを目的とした賞。
詳細は下記をご参照ください。
https://www.nikkenren.com/kenchiku/bcs/detail.html?r=w&ci=786

品名・施工個所 材質 仕上げ・加工
低層他
カーテンウォール・サッシ枠
ステンレス HL
特殊深曲げ角出し加工
大型建具
低層廻り他
軒天井パネル
軒天ルーバー
リブパネル
アルミ アルマイト+フッ素樹脂焼付塗装
(クロムフリー)
貫通通路
大アーチ枠
出入口サッシ枠
スチール(一部ステンレス) アンティークブロンズ塗装
(ステンレス部はクロスHL)
建物名称新丸の内ビルディング
施主三菱地所 株式会社
設計コンセプトデザイン:Hopkins Architects
設計監理:株式会社 三菱地所設計
施工株式会社 竹中工務店
竣工2007年
建設地東京都千代田区