2023年6月7日
メタルワークNEWSブロンズ・硫化凹凸テクスチャ家具・インテリア輝き・メタル感
多様な仕上げを散りばめたブロンズアート
加工や仕上げによって様々な表現が可能な金属素材は、アート作品やモニュメントとも相性の良い材質です。今回ご紹介するのは、”月”をモチーフにした、ブロンズのアート作品です。
大宮駅近くの複合ビル「大宮門街」に入居する肉懐石料理店「とこのうしん」。店名の「吐故納新」は「古きを捨て、新しきを取り入れる」という意味があり、店に訪れたお客様に、その日の嫌な思い出を捨てて新たな良い思い出を作ってもらいたいという願いが込められています。
そのコンセプトを空間に落とし込みデザインされたのが、入口に飾られた銅板オブジェ。更新・循環される現象の象徴としての”月”を、似たように様々な姿に変容する銅という素材を使って表現しています。一級建築士事務所 club Mai architects の宇那木麻衣氏による設計です。
直径900㎜、板厚2㎜の銅の円盤に、様々な加工や仕上げで月の模様を再現。周辺部は、銅の光沢を引き出したミガキ加工と、ブラスト仕上げの上から槌目加工(ハンマートーン)を施しています。槌目加工は、槌目模様の密度を変化させ、グラデーションとなるようにしました。中央部は、縦横2方向にHL(ヘアライン)をかけたクロスHLをベースに、PHL(バイブレーション)も配置。アクセントとなる星雲をイメージした模様は、職人が手作業で繊細な特殊研磨を施したものです。1つの作品の中に、職人技が光る多様な仕上げをちりばめています。
月の”海”と呼ばれウサギの影にも例えられる薄暗い模様は、板厚2㎜の銅板をレーザーカットで複雑な形に切り出したパーツを使用。銅の経年変化を人工的に再現した濃淡2種類の硫化イブシ仕上げと、深緑色の緑青風塗装仕上げとのグラデーションにしています。これらのパーツは4㎜、8㎜、12㎜とベースの銅板からの高さをそれぞれ変えて浮かせて取り付けており、立体的なアートとなっています。
ベース銅板の裏にスタッドで金具を取り付け、壁面に固定した受け板に引掛ける納まりで取り付けています。ライティング手法にも検証が重ねられ、浮かび上がる月のモニュメントが完成しました。
このように、同じ材質でも、異なる様々な表情を引き出せるのが金属素材の魅力です。KIKUKAWAでは、オーダーメイド製作で培った経験をもとに、豊富な選択肢の中からプロジェクトに合わせた金属素材の生かし方をご提案いたします。
今回ご紹介したブロンズ仕上げについて、詳しくは下記もご参照ください。
WEBショールーム – 各種ブロンズ研磨サンプル
仕上げラインアップ – ブロンズ