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KIKUKAWAのテクノロジー

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槌目仕上げ(ハンマートーン)

材質・大きさ・密度・模様の選び方により表情が異なる、多種多様な槌目仕上げ

槌目仕上げ、または槌目加工とは、板材にハンマーなどで丁寧に打痕模様を打ち出し、その風合いを楽しむ伝統的な化粧仕上げ工法です。金槌(模様)の大きさ・槌の深さ・槌模様の密度・槌のパターン(模様)と板の材質によって、さまざまな表情を作り出せます。
槌目仕上げは、さまざまな角度に反射するきらびやかな美しさから、モニュメントやインテリア製品・装飾品・調理器具などにも、幅広く適用されています。
KIKUKAWAでは、独自のノウハウと技術力を駆使し、従来の工法をさらに効率的に行う方法を編み出したことで、「槌目」模様の自由度や製作可能な寸法を向上し、コストや納期を大幅に改善しました。
KIKUKAWAの「槌目」対象製品は、銅やアルミ材で、最大寸法は幅1200mm、長さ2500mmまで対応しています。

主な特長・職人技による風合いと、品質管理による安定した高品質な製品製作が可能
・槌目模様、大きさ、密度、深さなどの調整可能
・曲げ加工などの後加工可能
・カスタム仕上げ対応可能
・小ロット対応可能
対応可能素材金属材
・銅
・アルミ
上記以外の材質にも対応できる場合がありますので、ご相談ください。
対応サイズW1200mm×L2500mm以下
上記を超えるサイズも対応できる場合がありますので、ご相談ください。

東京會舘2代目本館に設置されていた槌目Rパネル。

■槌目加工とは

槌目加工とは、表面加工の一種で、板材の表面に金槌などで槌の跡を打ち付けることで、模様を施していきます。打ち付ける槌の大きさや模様・素材・種類・力の加減によっても、槌目は変わります。
槌目仕上げは、母材の光沢と、さまざまな角度に反射するきらびやかな美しさから、モニュメントや内装壁面・天井、インテリア製品・装飾品・調理器具などにも、幅広く適用されています。
小さい槌は、細かい輝きのある繊細な表情として、大きな槌では、荒々しくアクセントとして目を引く柄となります。

 

■槌目加工の工法

伝統的な工法では、職人がひとつひとつ丁寧に槌目加工を打ち出していきます。手作業で描かれた模様は、ぬくもりを感じさせる味のある質感を生みます。
手作業で槌目加工を行うには、技術力に加えてさまざまなノウハウが必要です。例えば、材料の準備(焼きなまし*)や使用する道具(槌や土台)の選定、均一さを生み出す管理力、打つたびに反っていく板の歪み取りが挙げられます。
槌にも多種あり、模様付けには槌の先を丸めた「唐紙(からかみ)槌」、成形時には「いも槌」、彫り物を施すには「おたふく槌」と呼ばれる槌など、複数の道具を使い分けていきます。槌目に加えて筋目などのテクスチャーを付けたい場合は、槌の先端表面を荒らした「荒らし槌」を活用します。
近年では、鋳物あるいはロールエンボスなどを使い機械的に柄を施した規格品や、ハンマートーン塗料と呼ばれる凹凸を作り出す塗料もあり、槌目の可能性が広がっています。
いずれの工法でも、コストや柄・製作寸法の制限などがあるため、事前の確認が必要です。

*焼きなまし:金属材料を扱いやすくするために、適切な温度に加熱した後、ゆっくりと冷却させる熱処理。内部応力(材料の戻る力)除去・硬さの低下・加工性の向上が見込めます。

 

■KIKUKAWAの槌目加工

従来の槌目加工法では、職人がひとつひとつ丁寧に打ち出していたため、槌目の風合いも、製作スピードも職人の経験や技術力によって左右され、時間もコストもかかっていました。鋳物でも金型製作による同様の課題があり、ロールエンボスでは製作寸法と模様に制限がありました。
そこでKIKUKAWAは、職人技はそのままに、効率的に製作できる独自の工法を開発し、「槌目」としてご提供しています。クラシカルで高級感のある仕上げの味わい深さはそのままに、従来の価格より大幅なコストダウンを実現しました。
仕上は、銅合金の場合はミガキや硫化イブシとクリアーコートなど、アルミの場合はアルマイトや塗装が考えられます。また、これまでのデザインになかったような槌目模様の目の大きさや形状、筋目模様の有無やピッチなど、自由に組み合わせを調整することが出来ます。上記外の寸法や材質をご所望の場合は、一度ご相談ください。

 

■KIKUKAWAの「槌目」サンプル帳

槌目加工の多様性を実感できる、8種類の槌目パターンを掲載したKIKUKAWAサンプル帳の一種、「槌目」。材質は3種(銅・真鍮・アルミ)で、銅に硫化イブシを施したサンプルを掲載しています。

槌目サンプル帳の槌目パターンは、全部で3種。

1.スタンダードタイプ(TM)
基本的な槌目模様で、その特長は槌の打ち出し模様が重なっていること。目の大きさを変えることが出来ます。

2.ギャップタイプ(TMG)
槌目模様の間隔を開けることで、密度を薄くしたパターン。模様の配置を調整することが出来ます。

3.ストライプタイプ(TMS)
KIKUKAWAがオリジナル開発した、槌目に筋目のあるパターン。目の大きさや配置を調整することが出来ます。

サンプル帳「槌目」をご覧になるには、こちら

■KIKUKAWAの「槌目」活用例

◆筋目模様の槌目とR形状対応:東京會舘2代目本館 エントランスホール
KIKUKAWAでは、通常の槌目模様に加えて、筋目模様の対応やR形状の大型槌目製品対応も承っています。
1971年に竣工した、東京會舘2代目本館の1階玄関出入り口に、銅板に筋目のある槌目加工を施したKIKUKAWAのパネルがありました。一般の槌目模様とは異なり、筋目がある模様の品質管理は難易度が高く、円形回転扉のR形状無目パネルへの対応も実現した現場です。
製作当時は、槌目模様を一つ一つ丁寧に施していたため、熟練工でさえ1日に0.5㎡しか作業が出来なかったと言われています。
現在の東京會舘は、2017年から2019年1月にかけて建替えた3代目であるため、槌目パネルを現地で見ることは出来ませんが、解体されたパネルの一部は、現在KIKUKAWAの千葉自社工場内に展示されています。
KIKUKAWAの工場(キクカワテクノプラザ)については、こちら

◆大板のR形状対応:東京海上日動ビルディング本館
計4ヶ所の回転扉と6ヶ所のエンジン引き戸の内外装に、銅板にミガキ仕上げとクリアーを施したパネルと、槌目加工を施したパネルが交互に並ぶ、東京海上日動ビルディングの本館エントランス。板厚1.5mmの槌目パネルは、最大で高さ2000mm、幅も666mmほどあるR形状で製作しています。
1973年に竣工した同ビルは、KIKUKAWAの代表的な槌目加工の事例と言っても過言ではありません。

◆槌目のカスタム対応:某店舗内オブジェ
KIKUKAWAでは、槌目のカスタム対応を行っています。
東京にある某店舗内にある高さ17mの円形オブジェは、121枚の高さ2000mm、幅1000mmの銅パネルと、それを取り囲む花びら型オブジェに彩られており、それぞれ、特注製作の槌を使い分けて異なる大きさの槌目模様を施しています。KIKUKAWAでは大小さまざまな槌目模様・形状のパネルへの対応も可能です。
本プロジェクトについて、詳しくはこちら

◆槌目×アルミエール:レメディ・アンド・カンパニー 造作吊り天井
光輝アルミ合金に光沢やテクスチャを加えた仕上げ「アルミエール」のラインアップの1つ、「ハイブライトシルバー 槌目」。オフィスエントランスの造作吊り天井の仕上げとして採用されました。アルミエールの淡い映り込みが、槌目の細かい凹凸加工によってさらにぼかしたような柔らかい表情となっています。
本プロジェクトについて、詳しくはこちら

■槌目加工の留意点

槌目加工は、KIKUKAWA独自の工法で一つ一つ打ち出しているため、その模様が少しずつ異なる場合があります。その微弱な違いが、温かみのある風合いになっています。
また同じ槌目模様でも、材質・板厚によって母材の硬さが変わるため、打ち出しの凹凸に差が生じる場合があります。
当社では、品質確保のためにご採用前に仕上げサンプルを用いて、色味や模様の確認をさせていただいております。

 

■その他

KIKUKAWAの千葉工場内、サンプル室「Studio K+」では槌目加工体験を行っています。

「Studio K+」については、こちら
https://www.kikukawa.com/about/office/#studio-k

 

■ご相談ください

職人の手業によって温かみのある風合いを醸し出す、KIKUKAWAの槌目加工。金属の素地を活かした仕上げとして、カスタムの風合い含めて、幅広く承っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら


東京會舘2代目本館に設置されていた槌目Rパネル。


東京海上日動ビルディングの大板槌目R形状パネルとミガキパネル。


銅板+各種槌目加工、一部には硫化イブシを施した大型モックアップ。


KIKUKAWAのサンプル室「Studio K+」内にある槌目加工体験ブース。