
刻み幅の広いアルミ・エキスパンドメタルをパーテーションと外部ファサードに使用している
「エキスパンドメタル」は、金網の一種として、デザインファサードとしても活用されています。
KIKUKAWAは、ストランドの刻み幅(W)と呼称される網目と網目の間を広くすることで、開放感と適度な遮断性を両立させた「エキスパンドメタル・ルーバー」を提案。軽やかでシャープなデザイン性と日差しや視線を遮る性能をもつ、新しいタイプの金属ルーバーです。
エキスパンドメタルの起伏のある立体感は、従来の金属ルーバーと異なり、角度や時間帯により表情が異なり、奥行きを感じさせることができ、パンチングを施すことで、透過性をより高めることもできます。
主な特長 | ・開放感(換気・採光・透過性)と適度な遮断性(日除け・目隠し)の両立 ・起伏のある立体感と拡開パターンのデザイン性 ・軽量かつ後加工性が高い ・環境に優しいエコ製品 |
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対応可能素材 | アルミ 鉄(スチール)・亜鉛めっき鋼板 他の材質については、ご相談ください |
種類 | ・KEXシリーズ(刻み幅の広いKIKUKAWAオリジナル) ・KCT01:CTKEXシリーズ(ファスニングシステム込みのセミオーダー品) ・ パンチング付エキスパンドメタル「ラタン」 その他、JIS規格パターン及び特注品も取り扱いします |
対応サイズ | 板厚:1.5㎜~3.0㎜ 最大サイズ:W1250㎜×L4000㎜ ※上記を超える寸法は要相談 |
備考 | 人の手が触れる場所に検討の際は、採用する前に必ずご相談ください |

日除け及び目隠しルーバーとしてパンチング付エキスパンドメタル「ラタン」を窓に後付けで設置
■エキスパンドメタルとは
1.エキスパンドメタルの特色
エキスパンドメタルとは、専用の機械と型によって、金属板に千鳥状に切れ目を入れながら、押し延ばし拡開(エキスパンド)することで、網目を形成する金網の一種です。菱形あるいは亀甲形に加工したもので、起伏があり立体的です。
線材を編み加工した金網と異なり、接合部分(ボンド)が一体であるため、網目のズレ・ユガミ・ユルミがなく、堅牢を最大の特色としています。
●強度がある
●軽量である
●網目の起伏が美装的であり、すべり止め効果もある
●換気・採光・見通しが良い
●防犯性に優れている(部分的に切断されてもバラバラにならない)
●大量生産にも対応でき、加工性もよい。また、取付も簡単
●エコ製品である
2.エキスパンドメタルの部分名称
メッシュ
L.W.(Long Way of mesh):メッシュ長目方向の中心間寸法
S.W.(Short Way of mesh):メッシュ短目方向の中心間寸法
ストランド=エキスパンドメタルを構成する線
T.(Thickness):板厚、エキスパンド加工前の金属板の厚みと同じ
W.(Width):刻み幅(送り幅)、網目と網目の間の幅
ボンド:B.(Bond)=接合部分
上記の名称は、JIS規格に基づいたものです。JIS規格製品は、鉄及び亜鉛メッキ製で、グレーチングタイプとスタンダードタイプがあり、JIS互換規格品としてステンレスやアルミ製品があります。
任意の寸法に合わせた型を製作することで、JIS規格外パターンのエキスパンドメタルを製作することもできます。
3.エキスパンドメタルの用途
強度と剛性のある特性上、建材においては、フェンス、通気口、床材・側溝蓋、ケーブルラック、建築・土木用資材などに利用されています。起伏のある立体感、換気・採光の優位性、軽量であり後加工も容易であることから、近年では建築用の内外装材としても広く使用されています。
建材以外でも、電気・電子機器、造船・自動車・車輛産業、原子力産業、化学工業、宇宙・通信機器、機械・プラント、公害防止機器など、様々な産業に広く使われています。
また、エキスパンドメタルの特色である網目の起伏が不要な用途の場合は、フラットロール加工により平滑にすることもできます。
エキスパンド・メタルの建材用途について、詳しくはこちらをご覧ください。
メタルワークNEWS – 様々な用途に使える万能金属建材「エキスパンド・メタル」
4.エキスパンドメタルの材質
亜鉛メッキ鋼板を含む鉄、ステンレス、アルミニウム、銅合金、チタンなど、あらゆる薄板鋼板材に対応できます。
■ルーバー・ファサードとしてのエキスパンドメタル
換気・採光・透過性があり、立体的な特徴的なデザインをもち、堅牢でありながら軽量であるため加工性と施工性に優れているエキスパンドメタルは、外装ファサードとしても需要があります。
KIKUKAWAが提案するストランドの刻み幅(W)を広くすることで、さらにデザイン性と立体感が高まり、柔らかい布で包みこむような、かろやかさを演出。日光のあたる角度や昼夜を含めた時間帯、天候、ライトアップなどにより、異なる豊かな表情のファサードとすることができます。
また、通常の金網と違い適度な遮断性を備えることで、日除けルーバーとしての役割も期待できます。
■KIKUKAWAのラインアップ
「エキスパンドメタル・ルーバー」の可能性を広げるために、経験に裏付けされたノウハウと技術により、下記製品を開発しています。
1.Kikukawa CITY TEXTURE Series Vol.1(KCT01):エキスパンド・メタル
エキスパンドメタルのパターン、標準寸法、取付工法を規格化し、セミ・オーダー化した製品です。従来のオーダー製品製作のノウハウや実績を集約し、機能性や意匠性・施工性を確保し標準化することで、検討時間、製作期間やコストを抑えたものです。
KIKUKAWAにて製造・施工するのはもちろんのこと、建材として販売もしています。
基準サイズは、1000㎜×1000㎜と1000㎜×2000㎜の2種類。刻み巾の広い、メッシュピッチ76㎜~203㎜の4種類を用意しています。材質は、アルミで、アルマイトや粉体塗装仕上げがあります。
-詳細は、下記よりご確認ください
citytexture – エキスパンド・メタル
KIKUKAWAの各種カタログ – KCT01:エキスパンド・メタル
2.パンチング付エキスパンドメタル「ラタン RATTAN」
「ラタン」はストランドの刻み幅を広くしたエキスパンドメタルにパンチングを施すことで、透過性を高めた製品です。外側からは日除けルーバーとして機能しているエキスパンドメタルに、2㎜のパンチング穴を施すことで、内側からの景色が視界良好となり、通気性にも優れた製品となります。
エキスパンドメタルの性能を妨げずパンチングを施すためには、試作及び様々な検証が必要なため、現在はアルミ製1.5㎜の2種類のみラインアップしています。
<ラタン:KEX-Y100-P>
ヨロイ型と呼ばれる、横細長の穴が特徴的なエキスパンドメタルにパンチングを施したものです。開口部が表面的に約3㎜に対して、ストランド部が18㎜あり、それが立体的に被さっているため、日除けルーバーとしても目隠しルーバーとしても機能します。そこに、2㎜の小さい穴をパンチングすることで、内部からの良好な視界を確保します。
西日による影響を比較したモデルルームによる当社実証データ(*1)では、「ラタン:KEX-Y100-P」付の窓と無しの窓で、5度近い温度の差が発生していることから、環境製品としての機能を満たしていることが分かります。
(*1)当社実証データ:2018/3/14.16時、西日15度、室温23.1度、窓ラタン有り部22~24度、窓ラタン無し部28.7度
<ラタン:KEX-D99-P1>
KCT01にもラインアップされている、「CTKEX-D99」と同一形状のものにパンチングを施したものです。
もともと開口率が約27%あるため、十分に開放感はありますが、パンチングを施すことでさらに透過性を高めることができます。17㎜あるストランド部に千鳥でパンチングされており、デザイン的にも特徴的な製品になっています。
-サンプル帳及び形状は、下記よりご確認ください
KIKUKAWAの金属仕上サンプル帳 – エキスパンド・メタル サンプル帳
KIKUKAWAの金属仕上ラインアップ – アルミニウム
■KIKUKAWAのエキスパンドメタル技術
KIKUKAWAは、ルーバーやファサードをはじめとしたエキスパンドメタルを採用する金属工事のノウハウや技術を蓄積し続けています。
外側からは目立たず、内側からは機能性と意匠性を両立したファスニングシステム。3㎜の細目地にすることで、エキスパンドメタルに一体感のある納まりにするための設計・施工技術を有しています。
加工技術においても「KIKUKAWAグループ東京オフィス」の例のように、ランダムな曲面加工を施すこともできますし、「POKKE」のように、三次元加工も施すことができます。
プロダクト施工事例 – KIKUKAWAグループ東京オフィスのページはこちら
プロダクト施工事例 – POKKE(上野KSビル)のページはこちら
■エキスパンドメタル・ルーバーを採用するにあたって
エキスパンドメタルは、金型により切れ目を入れながら拡開する製造方法のため、開口部にバリが、ボンド部に金型跡が生じます。よって、人の手が触れる場所に検討の際は、採用する前に必ずご相談ください。仕上げに関しては、素材感を活かす仕上げ、例えばアルミのアルマイトなどの場合は注意が必要です。開口のある製品のため、粉体塗装仕上げが親和性ありますが、他の塗装方法や材質に合わせた仕上げも対応できます。
また、下記の場合も一度ご相談ください。
・材質が、アルミ及び亜鉛めっき鋼板の場合
・サイズが、板厚1.5㎜~3.0㎜、最大サイズW1250㎜×L4000㎜を超える場合
・KCT01以外のパターンが希望のとき
・ラインアップ以外のパンチング付エキスパンドメタルが希望のとき
■エコ建材としてのエキスパンドメタル
エキスパンドメタルはパンチングメタルと異なり、製造過程でスクラップやロスを生じません。しかも、SW方向に切込を押し広げていくので、元材より表面積が広くなります。そのため、軽いのに丈夫であることも含めて、エキスパンドメタルは、環境にやさしいエコ建材であるということができます。そのエコ建材を日除けルーバーとして使用することは、二重にエコに貢献していると言うこともできます。
このようにエキスパンドメタルは、近年の省エネ意識の高まりやZEB(*2)化の流れから、新築、改修ともに今後も注目される建材です。
(*2)ZEB(ゼブ=ゼロ・エネルギー・ビル):建物の運用段階でのエネルギー消費量を、省エネや再生可能エネルギーの利用を通して削減し、限りなくゼロにするという考えかた。
■お問い合わせください
エキスパンドメタル・ルーバーは、材質・板厚・パターンなどの諸条件により制約がありますが、KIKUKAWAは顧客のご要望に対して真摯に取り組んでまいります。また、JIS規格などで定められている規格品や特注エキスパンドメタルを用いた、他の金属加工と組み合わせた様々な製品にも対応します。
エキスパンドメタル建材や加工など、ご検討・ご採用の際には、ぜひご相談ください。

日除け及び目隠しルーバーとしてパンチング付エキスパンドメタル「ラタン」を窓に後付けで設置

内部からのパンチング付エキスパンドメタル「ラタン」の様子、サーモデータで遮熱の効果も確認できる

KIKUKAWAのエキスパンドメタル・サンプル帳

エキスパンドメタルにも三次元加工を施せる