インクリメンタルフォーミングとは、金型不要な成型加工技術で、少量多品種や複雑な形状の製品製作の場合、従来工法にくらべて安価で短期に対応できます。KIKUKAWAでは、技術研究や設備機能拡張を随時行うことで、インクリメンタルフォーミングの可能性を広げています。
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主な特長 | ・金型不要のため、少量多品種生産可能 ・多面体(ひょうたん型)など、複雑形状製作可能 ・最新設備を利用した成形加工技術 |
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機械・設備 | インクリメンタル装置 |
対応可能素材 | ・アルミニウム合金 ・銅合金(純銅や真鍮) |
種類 | ダイレス塑性加工による成形加工・3次元加工など |
対応サイズ | W2600×L3000 *上記を超える寸法は要相談 |
■インクリメンタルフォーミングとは
薄板金属に成形工具を逐次おしつけていくことで、目的の形状を得るダイレス塑性加工技術です。インクリメンタルフォーミングは、1990年代より日本を中心に研究が進められてきた成形技術であり、現在は航空機部品や、古い車種の車体パネルなどの一品物の製作をはじめとしたさまざまな分野で有効な加工技術として期待されています。そのため、さらなる応用化や可能性を見出すために、各地で研究が進められています。
*ダイレス:金型を使わない
*塑性:力を加えたときに、永久的に変形する物質の性質
■インクリメンタルフォーミングのメリット
インクリメンタルフォーミングは金型不要のため、金型プレス成形と比べ少量多品種生産が可能です。さらに、絞り加工では困難な、複雑形状の金属製品の製作ができます。
そのため、金型製作にかかっていた時間や工数が省け、少量の場合にはコスト削減が見込めます。また、試作時や設計変更などの形状の細かい調整や修正にも、より柔軟に対応することができます。
■KIKUKAWAでの対応素材や成形サイズについて
対応素材は、アルミニウム合金で板厚3.0㎜まで、銅合金で板厚3.0㎜までの加工が実証されています。中でも、アルミニウム合金の1000番系や純銅・真鍮といった銅合金系は、非常に良い成形性を示しています。
成形サイズは基本的に、幅2,600㎜×長さ3,000㎜までです。板材を加工時に固定するために “ミミ”と呼ばれる端幅が必要となるため、装置のテーブルサイズの幅3,000㎜×長さ4,000㎜より加工可能サイズは一回り小さくなります。但し、条件によりテーブルサイズに収まる範囲の大きさなら、対応できる場合もあります。
一方で、棒状の工具が平板を連続的に押すことで、金属を塑性変形させているため、材質によって対応できる板厚やサイズは、角度や成形の深さによって制限される場合があります。
■KIKUKAWAでの実用例
◇特殊形状の大型門扉
四季十楽の特注門扉は、インクリメンタルフォーミングが適用されたプロジェクトです。市場には出回っていないサイズの製品を製作するために、マルチファイバーレーザー溶接装置でつなげた大巾のブロンズの材料に、インクリメンタルフォーミングで曲面加工(3次元加工)を施し、曲面パンチングをすることで、意匠を実現しました。
このように、KIKUKAWAならではの金属加工設備やノウハウを組み合わせることで、市場には出回っていないサイズの大巾な材料で製品製作、成形後の切り出し、表面仕上げや部材組み立てといった作業も行えます。
四季十楽についてはこちら
施工事例:「四季十楽」
マルチモードファイバーレーザー溶接装置についてはこちら
テクノロジー:「ファイバーレーザー溶接」
◇特殊形状の椅子
桑沢デザイン研究所の専任講師、大松俊紀氏との協働により実現した「一品物」の椅子「Shades of Michelangelo」。
一枚物で、楕円という非対称的な形状の成形を背板の縁まで行い、R部分と平らな部分の境界線を明確にすることが求められていました。
従来であれば、金型と職人技を駆使して実現する形状ですが、今回は初挑戦となるインクリメンタルフォーミングでの楕円形状製作に挑みました。
椅子の写真や詳細については、こちら
「桑沢デザイン×菊川工業」先端技術の研究開発で「一品物」の椅子を製作
◇ブロンズキューブ
ご縁があり出展することになったフランスの展示会『Maison et Objet(メゾン・エ・オブジェ)』。イノベーティブマテリアル(革新的素材・製品)の展示会のテーマに沿い、1.5㎜厚の真鍮平板を様々な高度な技術を駆使し製作しました。 3Dモデルリングにて作図された150㎜角の「ブロンズキューブ」は6面とも、くぼみのあるパンチング面で構成しています。
ブロンズキューブの写真や詳細については、こちら
メタルワークNEWS:ブロンズキューブ:テクノロジー×職人技
◇マルチフォーム
キクカワテクノプラザのゲストロビーに設置された円盤型テーブル。3㎜厚のアルミ板を、直径1.8m、高さ300㎜ほど隆起した形状へと加工し、アルミの鏡面+ホワイトのグラデーション塗装で仕上げています。かつてない大きさのアルミのインクリメンタルフォーミング加工で、試行錯誤しながら完成させました。
詳細はこちら
メタルワークNEWS:オーダー装飾金物でつくる什器・インテリア vol.2
■インクリメンタルフォーミングの今後の可能性
KIKUKAWAでは、機械設備の機能拡張も随時行っており、最近では、多面体の成形が対応可能となりました。3次元切削など、さまざまな加工を組み合わせることで、アイディア次第でより複雑な形状ができます。
また、3次元CADのSolidworksを始めとしたさまざまな製品設計形状データを、直接機械へのプログラムとして流用することができるため、さらなる効率化が見込めます。
このように日々研究が進められ、進歩している加工技術のため、データ収集や塑性加工形状の製作検討も承りますので、まずはご相談ください。