研磨仕上、あるいは研磨加工とは、金属の素地にさまざまな研磨を施すことで模様付けをする表面仕上工法です。研磨される製品材質、研磨する研磨材、研磨の模様を調整できるだけでなく、研磨模様を重ねたり、他仕上と組み合わせたりすることも出来るため、その活用法やデザインの可能性は幅広くあります。
研磨加工は、モノづくりにおいて航空機のような大型製品から精密機械部品などの小物まで、さまざまな業界でニーズがあります。金属建材では、研磨仕上の多様性と質感から、古くからカーテンウォール・内外装・建具・モニュメントなど多岐にわたって活用されてきました。
KIKUKAWAでは、創業以来培ってきた独自のノウハウと技術力、そして協力会社との協業を基にした総合力で、お客様のご要望に合わせた高品質な研磨仕上の金属建材を製作しています。対象材質は、ブロンズ(純銅・丹銅・黄銅・真鍮)・アルミ・ステンレスです。材質・形状・板厚や研磨模様により異なりますが、W1500mmの広幅パネルやL6000mmの長尺パネルまで対応しています。
主な特長 | ・品質管理のノウハウがあり、安定した高品質な研磨仕上が可能 ・研磨模様の調整可能 ・カスタム仕上や新開発対応可能 ・耐指紋性コーティングや不動態皮膜対応可能 ・他仕上げとの組み合わせ可能 ・素地を活かした仕上 ・大板対応可能 |
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対応可能素材 | ・アルミ ・ブロンズ(純銅・丹銅・黄銅・真鍮) ・ステンレス *他金属材も対応しておりますので、ご相談ください。 |
対応サイズ | W1500mmの広幅パネル L6000mmの長尺パネル *上記を超えるサイズも対応しておりますので、ご相談ください。 |
備考 | 研磨のみの加工受託対応は承っておりませんので、ご注意願います。 |
■「研磨仕上(研磨加工)」とは
研磨とは、道具を使って研ぎ磨く事を指しますが、研磨仕上とは、金属の素地に様々な研磨を施すことで模様付けをする表面仕上加工法です。研磨する材質、研磨材、研磨模様、さらには研磨模様の幅・長さ・方向性・形・深さなどを変えることで、多彩な表現が可能です。パターンを組み合わせることによって、奥行きや立体感などの深みを付加できる研磨仕上は、金属素地の質感を活かす仕上として選定される場合が多くあります。また、材質にもよって発色やめっきなどの他の化粧仕上との組み合わせも出来るため、その可能性は無限大です。
■「研磨仕上(研磨加工)」の目的や用途
研磨仕上は、金属そのものの高い機能性や質感を活かしつつ、幅広い意匠に対応できる化粧仕上で、建材に限らず古くから幅広く活用されています。
研磨仕上の元は、金属加工の一種である研磨加工です。研磨加工は、金属だけでなく石材や木材にも使用されており、主に材料の表面を調整する加工法です。求められた機能面・装飾面を満たすために、表面をなめらかにしたり、荒らしたり(ざらざらにすること)、ミリ単位でのサイズ調整を行うといった具合に活用されています。
金属建材において研磨仕上は素地調整、部品の滑り性向上、光沢の付与、美観といった目的で使用されています。その種類は、一般的によく知られているHL(ヘアーライン)からPHL(パーマネントヘアーライン・バイブレーション)、ビーズブラスト、磨き上げることで完成する鏡面仕上なども研磨仕上の一種です。
■金属建材の「研磨仕上(研磨加工)」工法
研磨加工の方法は多岐にわたります。
一番大きな分類法として、化学研磨と機械研磨が挙げられます。化学研磨とは、工作物を化学薬品に浸漬する研磨工法で、その例としてエッチングや電解研磨などが考えられます。機械研磨とは、機械を使って行う研磨工法で、液体状の研磨材とともに砥石・スコッチ・バフや研磨パッドなどの工具を使って工作物を磨いていきます。機械研磨の工法を応用し、ビーズブラスト仕上げや鏡面仕上げも実現することができます。
研磨加工は、ライン化されている場合が多いですが、小口や溶接・曲げ加工後、R加工が施された工作物の部分的な仕上げ、特殊研磨などは、手がけで行う必要があります。
■金属建材「研磨加工(研磨仕上)」の注意点
研磨加工は、さまざまな意匠や多様な形状に適用できるため幅広く活用されていますが、仕上の金属建材に適用する場合、下記留意点が考えられます。
◇金属材の場合、研磨した側が微弱に伸び、対象材は反ったり歪みます。平坦な建材が必要とされる場合、裏面も研磨するなどといった矯正作業を施す必要があります。
◇研磨仕上が素地を活かした仕上であるため、母材の材質によって、同研磨仕上でも違った風合いが完成します。また、同じ材質であっても、ロットの違いなどによる母材化合物の微弱な違いによって最終的な風合いが異なる場合があります。
◇鏡面仕上げなどの研磨加工を施すと、母材にピットやピンホールといった小さな穴が表面に浮き出ることがあります。これらが発見された場合、研磨の工程をやり直すという手間が発生します。
■KIKUKAWAの「研磨加工(研磨仕上)」対応範囲
KIKUKAWAでは、お客様のご要望に合わせた研磨加工を行っています。対応材質は、アルミやステンレス・銅合金(純銅・丹銅・真鍮)です。
基本的に幅1500mm✕長さ6000mmまでは対応可能です。最も適切な研磨加工方法をプロジェクトに合わせて選定しているため、対応サイズや対応可能な研磨模様が変わる場合がありますので、一度ご相談ください。
◇耐指紋性コーティング
研磨加工を施した金属建材は、表面にできる微細な凹凸により指紋が付着しやすく、痕に残りやすくなる場合があります。KIKUKAWAでは、表面デザイン性や質感を損なわずに、研磨加工後の金属材に耐指紋性コーティングを施すことができます。指紋や手垢などの汚れが目立ちにくくなるため、メンテナンス性も向上します。
対応可能な材質は、ステンレスとアルミニウムで、内外装の適用も可能です。基本的には、どの研磨加工も対応可能ですが、鏡面などの反射率が高い仕上については形状などによりムラが目立つ場合があるため、事前にご相談ください。
◇不動態皮膜処理
不動態皮膜とは、ステンレス材に自然に発生する保護皮膜で、この被膜のおかげでステンレスは錆びにくくなります。
この被膜は、ステンレスの化合物の一つであるクロムと空気中の酸素が結びついて形成されます。皮膜厚は薄いですが安定しており、傷や破損によって部分的になくなってもすぐに再生するという性質を持っています。
自然に発生する不動態皮膜ですが、研磨加工を施すと剥がれてしまいます。そこで、KIKUKAWAでは、研磨加工後に独自の技術で人工的に不動態皮膜を生成しています。自然な保護皮膜が形成される前に生成することで、ステンレス本来の特性を強化し、仕上げの美しさを長く保持することができます。
◇他仕上との組み合わせ・カスタム仕上および新仕上開発の対応
KIKUKAWAでは、通常のHLやPHLといった研磨加工に加えて、他仕上との組み合わせ・カスタム研磨加工の対応や新しい研磨加工の開発も行っています。
研磨目の粗さや細かさ・模様への対応や、クロスHLなどの研磨加工を複数回ほどこす仕上げも対応可能です。
さらに、他仕上との組み合わせも対応可能です。例えばアルミであれば、PHL加工後に陽極酸化複合皮膜を施した光沢感のある仕上、そして電解研磨やエッチングと組み合わせた仕上げが考えられます。ステンレスは、研磨加工に発色やスパッタリングなどを組み合わせることで、深みのある仕上げを完成することが出来ます。銅合金の場合、硫化イブシやクリアーとの組み合わせが考えられます。
他にも、研磨模様を部分的にほどこし模様付けをする。あるいは方向を変えたキシャゲ加工を行い、部分的に光の反射が発生し見る角度によって輝きや色が違うように見せるなど、金属特有ならではの特性を活かした仕上を作り上げることが出来ます。
研磨模様の開発・新しい仕上の開発も行っているため、デザインやアイディア次第で、世界で一つだけのオリジナル研磨仕上を作り出すことが出来ます。
ご要望の意匠に沿った研磨加工のサンプル提案や随時製作も行っています。
◆KIKUKAWAのアルミ仕上サンプルをご覧になるには、こちら(研磨加工+他仕上)
◆KIKUKAWAのステンレス仕上サンプルをご覧になるには、こちら(各種研磨加工)
◆KIKUKAWAのブロンズ仕上サンプルをご覧になるには、こちら(研磨加工+他仕上)
◆メタルワークNEWS「多様な仕上げを散りばめたブロンズアート」
◇大板対応
建築物における広幅や長尺の研磨加工も対応可能です。広大な工場の敷地と大型加工設備を保有しており、市場にないサイズの建材加工にも対応することができます。また、かねてより築いてきた協力会社との信頼関係によって、品質の安定した大板サイズの材料入手が可能です。
例えば、長さ18.5mのビーズブラスト仕上ファサードや同じくビーズブラスト仕上の8m丸柱などの実績があります。
◆KIKUKAWAの大型金属パネル(広幅・長尺)の施工事例をご覧になるには、こちら
◆KIKUKAWAの大型金属パネル(広幅・長尺)に関する技術については、こちら
◇現場研磨
通常、研磨加工は一定の品質を保持するために、工場内で行われます。しかし、上述の大板などプロジェクトの意匠によっては、高度な現場溶接や現場研磨加工が必要となる場合があります。
KIKUKAWAでは、ビードが小さく一定な高品質の現場溶接を行うことが出来ます。また一体物の大型モニュメント製作など、大規模な現場溶接と研磨加工の現場補修にお応えしています。
たとえば、東京駅八重洲口駅前広場にある中央換気塔。全長約17000mm、最大幅6700mm、高さ4800mmのシェル型換気塔パネルは、自立型の構造体にするために一体物としたいとのご要望がありました。そこで、板厚9mmの24枚の3次元に加工されたステンレスパネルを現場で溶接し、通常工場でしか出来ないとされているパールバイブレーション仕上を現場で施しています。
また某ブランド店舗では、計111枚の素地パネルを現場溶接し、一部を鏡面に磨き上げることで、デザイナーのこだわりを実現しました。一枚のパネルが最大幅2000mm、高さ10000mmもあり、現場溶接でビード痕を残すという難条件を、材料購入から施工計画まで事前検討を重ね管理することで作り上げています。
◆KIKUKAWAの施工事例「東京駅八重洲口駅前広場(中央換気塔)」については、こちら
◆「パールバイブレーション」仕上のサンプルをご覧になるには、こちら
◇KIKUKAWAの品質管理
KIKUKAWAには、化粧建材において必要とされる高品質な研磨加工を施す技術力や品質管理のノウハウがあります。研磨加工は、研磨の加工段階だけでなく、素地の品質や研磨前後の対応など、さまざまな要因が最終品質を左右しますが、菊川は傷や汚れ・ムラがなく、歪みや曲がりがなく平滑度の高い製品製作を行うことができます。
■KIKUKAWAの研磨加工(研磨仕上)と施工事例
◇HL(ヘアーライン)仕上
長手方向に連続して研磨目を通した一般的な研磨加工仕上げの一つです。研磨の番手を変えたり、特殊な研磨方法を使うことで、HLの細かさや研磨目の連続性を調整出来ます。
◆KIKUKAWAのHL(ヘアーライン)仕上の施工事例をご覧になるには、こちら
◇PHL仕上(パーマネントヘアーライン・別名バイブレーション)
無方向に小さな弧を描いた研磨模様です。こちらも、研磨目の粗さを調整できます。
◆PHL(パーマネントヘアライン・バイブレーション)仕上について、詳しくはこちら
◆KIKUKAWAのPHL(パーマネントヘアーライン・バイブレーション)仕上の施工事例をご覧になるには、こちら
◇PVIB仕上(パールバイブレーション)仕上
小さな丸がたくさん重なりあった研磨模様です。高級感を演出したい箇所に採用されます。
◆KIKUKAWAのPVIB(パールバイブレーション)仕上の施工事例をご覧になるには、こちら
◇鏡面(ミラー)仕上
鏡のような光沢があり、バフ目が無く映り込みが美しい仕上げです。通常の研磨模様から徐々に番手を細かくしていくことで、丁寧に磨き上げていく仕上げのため、準鏡面にも対応可能です。ピンホールや小さな傷・歪みまで、映り込みで見えてしまうことから、難易度の高い仕上げです。
◆KIKUKAWAの鏡面(ミラー)仕上の施工事例をご覧になるには、こちら
◆KIKUKAWAの大型ステンレス鏡面パネルの海外プロジェクト事例をご覧になるには、こちら
◇ビーズブラスト(シルキーブラスト®)仕上
さまざまなブラスト材を該当材に投射することで施す表面処理法です。主に下処理として使われていた同仕上げを化粧仕上げとして向上したのが、KIKUKAWAの「シルキーブラスト®」です。
◆KIKUKAWAの「シルキーブラスト®」の技術に関しては、こちら
◆KIKUKAWAの「シルキーブラスト®」仕上の施工事例をご覧になるには、こちら
◇電解研磨
該当材を電解液に浸し、電流を流すことで研磨を施す加工法です。その応用が、光輝合金発色につながっています。
◆KIKUKAWAの光輝合金発色仕上の施工事例をご覧になるには、こちら
◇エッチング
化学薬品などの腐食作用を利用した表面加工法です。
◇デザイン研磨
金属材の一部のみ仕上げたり、部分的に研磨加工を施すことで魚のウロコのようなデザイン研磨を施すことが出来ます。
その一例は、下記の通りです。
・クロスHL
・スクラッチHL
・キシャゲ
・手がけ
■ご相談ください
KIKUKAWAでは、さまざまな金属材に多種多様な研磨加工(研磨仕上)を行っています。
研磨する材質、研磨材、研磨模様、さらには研磨模様の幅・長さ・方向性・形・深さなどを調整したり、研磨模様を組み合わせたり、他仕上との組み合わせも行うことが出来るため、建築デザインの可能性を広げる表面仕上加工法です。
研磨加工の種類や材質によって、製作可否や対応可能な寸法が変わる場合がありますので、お気軽にご相談ください。