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KIKUKAWAのテクノロジー

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ステンレス鋼構造体

都営地下鉄大江戸線 飯田橋駅の羽型換気塔モニュメント

ステンレスは、性能と意匠性を両立するさびにくい金属建材として、パネルから装飾金物・構造材まで幅広く活用されています。建材としての利用は1930年頃からで、日本国内の構造材としての利用は2000年の建築基準法改正施行令以降です。
KIKUKAWAでは、1998年にステンレス構造建築協会認定工場を取得して以来、従来の薄板に加えて厚板でも、さまざまなサイズ・形状・部位のステンレス製品を設計から施工まで、プロジェクトの要望に応じてワンストップで対応しています。
広幅・長尺や特殊形状のステンレス構造体に対応できる工場設備、高品質な製品製作を実現するために必要となる材料メーカーや協力会社との信頼関係、設計や製造・施工の技術力、品質管理ノウハウなどの総合力で、お客様のご要望の実現を目指します。

主な特長・少量多品種対応可能
・長尺、幅広、曲線、3次元形状などの製品製作
対応可能素材ステンレス全般
・マルテンサイト系
・フェライト系
・オーステナイト系
・二相系
ほか
対応サイズ都度ご相談ください。
備考ステンレスの種類や仕上・形状・内外などの使用部位などにより、加工制約が異なります。ご検討の際は、事前にご相談ください。
ステンレスの材料販売のみは承っておりませんので、ご留意ください。

東京駅八重洲口駅前広場(中央換気塔)の製品検査の様子。溶接後仕上げた製品の精度や品質をお客様とともに確認しています。

■ステンレスの特長

ステンレスとは、鉄にクロムやニッケル・マンガン・モリデブンを含有した合金鋼を指します。鉄と同等の強度を持ちながら、さびにくく加工性も優れていることから、ありとあらゆる業界で使われています。
ステンレスは、合金の含有比率によって溶接性や耐熱性・耐食性・成形加工性が変わるため、JIS規格上で分類されている種類だけでも、オーステナイト系・フェライト系など、さまざまです。
また、ステンレスは100%再利用できる原料であることから、環境にも優しい金属といえます。

 

■ステンレスの建材としての歴史

近代建築の象徴ともされる素材の一つ、金属。その中でもステンレスは、金属の質感をそのまま活かすことができる意匠性と性能を両立する建材として、建築デザインの可能性を広げました。
ステンレスの利用は、技術の発展により生産が容易になったことを皮切りに拡大し、1930年に竣工したアメリカのクライスラー・ビルディングが初めて大量のステンレス鋼を外装として使用した建築物です。その後、ステンレスの建材としての位置が確立され、日本では、1931年に竣工した大阪朝日ビルのステンレス外装材の利用が初期建造物の中でも最も有名だといわれています。
ステンレスは、高耐食性・高耐久性に加えて、耐火性や低温特性もあり、沿岸部や極寒・寒冷地などの厳しい環境下にも使用できます。また、素地のまま使用できることから、研磨加工やブラスト加工などの金属らしい意匠を実現できます。
日本国内でのステンレスの鋼構造材としての利用は2000年の建築基準法改正施行令されてからです。(1998年に改正された建築基準法に関連して、2000年に施工された施行令に、ステンレス鋼も建築構造材の一つとして規定されました。)

ステンレスの表面仕上については、こちら
https://www.kikukawa.com/metal-sample-catalog/stainless/

 

■ステンレス構造体の優位性

建物の構造には、S造(鉄骨)、AL造(アルミニウム)、RC造(鉄筋コンクリート)、SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)、W造(木)など、さまざまな種類があり、それぞれ用途に応じて材質が使い分けられています。金属で構造材として利用されているのは、鉄(スチール)、ステンレスとアルミニウムです。
ステンレスは、俗にS造(スチール造)と呼ばれる鉄骨造の種類区分に入ります。S造の中でも、鋼材の厚みが6mm以上の場合は「重量鉄骨構造」、6mm未満の場合は「軽量鉄骨造」と定義されており、ステンレスは双方に対応することが出来ます。
S造で一般的に使われている普通鋼(鉄)は、素地のままでは腐食してしまうため、塗装やめっきといった表面処理が必要となり、これらの表面処理の定期的な補修が不可欠です。ステンレスは、素地のままで使用できるため、これらの処理が不要でメンテナンス作業の低減につながります。
国内でのAL造(アルミニウム)の利用は限られていますが、アルミは軽量で加工しやすいことが最大の利点です。ただ、ステンレスに比べると強度面や耐火性が劣ります。
これらをふまえると、ステンレスは高い性能を持つ構造材で、金属の質感を活かした建築物の実現を可能にする材質だと言えます。

 

■KIKUKAWAとステンレス構造体

KIKUKAWAは、創業よりオーダーメイドの金属工事で培ってきた総合力で、さまざまなステンレス構造体へのご要望にお応えします。総合力とは、高品質な製品を製作するために必要である協力会社との信頼関係、大型製品の取り扱いを可能にする敷地や設備、設計から施工まで一丸となって実現を目指す技術力と提案力、品質管理のノウハウなどです。
さらに、当社は1998年の「ステンレス構造建築協会認定工場」の取得、「ステンレス建築構造製作管理技術者」資格取得者による管理体制、「ステンレス建築構造溶接技能資格」取得者による構造溶接、「ステンレス鋼高力ボルト接合施工管理技術者」による施工管理といった資格に裏付けられた体制を整えています。

 

■KIKUKAWAのステンレス構造製品事例

◆都営地下鉄大江戸線 飯田橋駅換気塔モニュメント

渡辺誠先生が設計された大きな羽のようなモニュメントが印象的な飯田橋駅の換気塔。そのデザインは、植物の枝や葉の仕組みから学んだ自然のカタチが基となっており、なめらかな曲線を描いています。全長20100mm、幅6500mmの羽型モニュメントの骨格を、板厚8.2mmの直径216.3mmのステンレスパイプをR曲げ加工し、溶接でまとめています。サンダーと呼ばれる電動工具で表面を削った荒々しい模様が仕上に採用されたため、これらのパイプは全て職人技によってサンダー仕上が施されています。

東京地下鉄大江戸線飯田橋駅、内部のエスカレーター天井にあるウェブフレームも当社が製作しています。詳細は、こちら
https://www.kikukawa.com/metalcraft-web-frame-of-iidabashi/

 

◆東京駅八重洲口中央換気塔

全長17m、最大幅6.7m、高さ4.8mのシェル型換気塔は、自立型の構造体パネルです。ステンレスの中でも高強度で高耐食性能をもつ二相系ステンレスSUS329J3Lの板厚9mmのものを使用し、3次元成形した24枚のパネルを工場と現場溶接でまとめています。

東京駅八重洲口中央換気塔については、こちら
https://www.kikukawa.com/product/yaesu-ventilating-tower/

 

◆科学警察研究所

入り口にある玄関に、長さ21.3m幅5.2mの長尺庇を片持ちの一体物として納めています。長尺であるため溶接箇所を超音波検査で溶け込み検査するなど、細心の注意をはらいながら、SUS304材を溶接とHL仕上げでまとめています。

 

群馬県立館林美術館

群馬県館林市に第一工房によって設計され、2004年第17回村野藤吾賞を受賞した同美術館。多くの彫刻を展示している展示部屋の一つのステンレスの建具に参画しています。ステンレス材をバイブレーション(PHL)で仕上げ、高さ9500mm、幅65mm、奥行き250mmの建具とすることで、採光と開放感あふれる空間を実現しました。

 

◆香港セントラル駅

香港のビジネスの中心地であり、金融街でもある香港セントラルにある地下鉄MTR駅の庇を1990年代に製作。SUS316材にビーズブラストを施し、溶接も駆使してまとめています。

 

◆香港チョンコンセンター

HL仕上したSUS316材を庇として採用した香港チョンコンセンター。SUS316材は、SUS304材に比べるとニッケルが増量されモリデブンが添加された材料で、耐酸性と対孔食性が優れた材質です。品質的にSUS316材は優れているものの、SUS304材に比べて高価であることから、高性能が求められる現場で採用されます。

 

他ステンレスを使用した菊川の施工事例については、こちら
https://www.kikukawa.com/tag-material/stainless-steel/

 

■ご相談ください

KIKUKAWAは、長年の経験によって培った経験とノウハウを基に、意匠性に優れたステンレス製品だけでなく、強度や安全性が求められる構造物にも対応しています。対応可否を含めて、お気軽にお問い合わせください。


東京駅八重洲口駅前広場(中央換気塔)の製品検査の様子。溶接後仕上げた製品の精度や品質をお客様とともに確認しています。


長さ21.3m幅5.2mの長尺片持ち庇


群馬県立美術館の高さ9500mm 幅65mmのステンレス建具が開放感のある空間を支えます。


香港セントラル駅の庇

「ステンレス鋼構造体」が使用されている施工事例